2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25450033
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
森下 敏和 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター畑作研究領域, 上席研究員 (30414949)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 普通ソバ / 半矮性 / 遺伝様式 / 近同質遺伝子系統 / 施肥 / 栽植様式 / 収量性 |
Research Abstract |
半矮性の遺伝様式を明らかにするために近縁種から自家和合性を導入した自殖性ソバおよび従来型の他殖性ソバ品種を用いて交配実験を行った。その結果、半矮性系統に自家和合性系統を交配して得られた自家和合性F1を自殖させて得られたF2の分離は3:1に適合していた。さらに半矮性系統に他殖性のキタワセソバを交配して得られたF1をF1同士による兄弟交配で得られたF2の分離は3:1に適合していた。これらの結果から半矮性は単一の劣性遺伝子に支配されていると考えられた。 半矮性が既存に遺伝子か新規遺伝子かどうか明らかにするために、半矮性系統に遺伝子座が既知の半矮性系統(dwA~dwF)を交配して得られたF1の草型を調査した(対立性検定)。その結果、ほとんどのF1は野生型を示したため、本研究に供試した半矮性は新規遺伝子であると推測された。 半矮性素材およびdwA、dwB、dwC、dwD、dwE、dwFの近同質遺伝子系統を作成するための交配および戻し交配を実施した。dwBは1回目の戻し交配の段階でやや遅れ気味であるが、それ以外については現在BC1F1を養成しつつある。 栽培試験の結果、標準施肥では半矮性素材の子実重はキタワセソバと同程度から8割程度であったが、窒素施肥量を多くするに従ってキタワセソバの倒伏は増加した一方で、半矮性の倒伏は少なかった。窒素施肥量の影響は、キタワセソバの方が増収割合が高かった。また畦幅(30cmと60cm)が収量に及ぼす影響は明らかでなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
半矮性の遺伝様式の解明に関しては、半矮性は新規の劣性1遺伝子支配であることが明らかになり、遺伝様式の解明は計画通り達成できた。 矮性および半矮性遺伝子座の表現型に対する効果の比較に関しては、今年度はキタワセソバとのF1を作成した。さらに戻し交配を実施し、BC1F1を作成した。近同質遺伝子系統は概ね計画に従い作成しつつあるが、dwBの戻し交配が発芽不良のため、遅れている。 半矮性系統の生育特性および栽培環境に対する生育反応の解明に関しては、圃場試験により生育反応についての知見は得られたが、物質分配や収量の形成過程については現在の所未解明である。
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Strategy for Future Research Activity |
半矮性の遺伝様式の解明については解明済みのため今後の実施計画は無し。 矮性および半矮性遺伝子座の表現型に対する効果の比較を目的として、各半矮性系統の遺伝的背景を揃えるために引き続き戻し交配を進めて近同質遺伝子系統を作成する。3年目に栽培比較試験に供試するために3回目戻し交配を実施する。これらの農業関連形質等を調査し、遺伝子座の効果を比較検討する。 半矮性系統の生育特性および栽培環境に対する生育反応の解明については、半矮性系統の潜在能力を最大限に発揮できる条件を明らかにするため、様々な栽培条件を設定し、子実収量に及ぼす影響を検討する。具体的な処理条件に、元肥として窒素多肥、NPK多肥について検討する。また競合のない疎植条件で半矮性系統と従来型品種「キタワセソバ」を栽植し、一定期間ごとにサンプリングする。サンプリング時に草丈、分枝数、節数などの基本特性を調査後、茎、葉、子実などの部位別に分解して乾物重および窒素含量を測定する。得られた結果を基に生育様式や物質分配および収量の形成過程について明らかにする。また窒素利用効率や登熟歩合などの収量構成要素についても検討する。
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