2013 Fiscal Year Research-status Report
イネ花粉の発達過程における転写制御と高温障害による不稔のメカニズム
Project/Area Number |
25450034
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
川岸 万紀子 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 本部・総合企画調整部研究戦略チーム, 主任研究員 (50355707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 均 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 作物研究所稲研究領域, 主任研究員 (30355565)
大島 正弘 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 作物研究所稲研究領域, 上席研究員 (20355572)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 遺伝子発現制御 / ストレス応答 / イネ / 花粉 / 不稔 |
Research Abstract |
本研究は、イネの高温不稔を主題として、成熟花粉形成の分子基盤と高温ストレスに対する応答とを明らかにすることを目指している。これまでの研究から、高温によりタペート内での遺伝子発現制御が攪乱され、花粉の柱頭への相互作用能が低下して不稔が起こるというモデルが立てられている。そこで本研究では、タペートの機能不全を中心課題と位置づけ、タペートで働く転写因子に着目し、その制御様式や機能を明らかにする。 今年度は、2つのMYB様転写因子遺伝子を単離した。これら2つの転写因子は、アミノ酸配列で約28%の相同性、約64%の類似性を示し、いずれも小胞子期の葯で特に発現が高い。これまでの研究において、2日間の高温処理によって不稔が誘導されることがわかっているが、その高温処理の時期とこれらの転写因子遺伝子の発現時期が重なることが確認された。また、すでに同定している高温応答性遺伝子群のなかには、MYB 結合配列をもつものがあり、これらの転写因子の制御を受ける可能性が考えられる。そこで、これらの転写因子の花粉の発達過程における機能を明らかにする目的で、遺伝子の過剰発現やノックダウン解析を行うための形質転換イネを作製している。これらの形質転換体が得られた後、その表現型を解析するとともに、高発現や発現抑制により影響を受ける下流の遺伝子群を探索する予定である。 また、高温によってどのような障害を受けるのかを明らかにする目的で、花粉の発芽特性を解析する。イネ花粉の培地上での発芽試験は、実験材料や実験を実施するときの環境条件によって左右されやすく、無処理花粉でも発芽効率が低いという問題点がある。そこで、まず無処理の花粉が安定して高い発芽率を示すような実験条件を設定するための検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イネの2つの転写因子について、これまでに報告されていなかったcDNAを単離し、その構造や発現を解析するなど、概ね計画に沿って研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従って、単離された転写因子遺伝子の高発現や発現抑制のための形質転換体の作製を進める。得られた形質転換体の表現型を解析するとともに、影響を受ける下流の遺伝子を探索する。また、高温によって花粉がどのような障害を受けるのかを明らかにする目的で、花粉の特性を解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究代表者の所属機関での配置換えに伴って、研究分担者を追加した。研究に必要な消耗品などを研究分担者と共用として利用できたことなどにより、本年度の経費負担が当初計画より少なくなった。 次年度には、研究補助員の雇用経費が今年度より多額になることが見込まれるが、他は主に形質転換イネの作出と栽培・解析にかかる経費にあてる予定である。
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