2013 Fiscal Year Research-status Report
種・異倍数性間での交雑成否の一側性と誘因される単為発生の解明および園芸的利用
Project/Area Number |
25450036
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
本多 和茂 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (30279442)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | デルフィニウム / 種間交雑 / 倍数性 / 胚珠・胚培養 / 一側性 / 単為発生 / 花卉園芸的利用 |
Research Abstract |
種間あるいは異なる倍数性間での交雑においては、用いる両親の組み合わせにより、雑種が得られる場合と得られない場合があることは良く知られている。雑種が得られない組み合わせにおいては、雑種胚を含む胚珠や種子を培養することにより雑種を得ることが可能となる場合がある。 申請者はこれまでに、花卉園芸品目の一つであるデルフィニウム(Delphinium L.)属を材料とし、交雑由来の胚珠や種子の培養による新たな雑種育成手法の確立に取り組み、成果をあげてきた(Honda & Tsutsui 1997 Eupytica;Honda et al. 2003 Eupytica;本多・小関 2007園学研別;本多他 2009園学研別)。 本申請課題において初年度である平成25年度は、1.交雑成否と一側性および単為発生を左右する要因の解明および、2.後代獲得のための胚珠あるいは種子の培養に取り組んだ。交雑においては、その成否を左右する要因の一つとして、初期の段階すなわち、受粉~受精および種子形成に至る過程の相違が考えられる。そのため交雑の成否に関わり、また一側性および単為発生を左右する要因を明らかにするため、種間交雑および倍数性の異なる種・系統間での交雑を行い、受精・結果および結実率の調査を行った。また、交雑和合性が低く種間雑種を得ることが出来ない一部の種間交雑において、胚珠・胚培養を行うことにより個体を得ることに成功し、現在育成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の課題として掲げた、交雑成否と一側性および単為発生を左右する要因の解明については、複数の交雑組み合わせにおいて調査を実施することが出来、一部の組み合わせでは一側性を確認し、さらに一部の組み合わせにおいて後代を得るところまで進んでいる。一方で、授粉~受精に至る過程の詳細な観察と把握は植物材料の開花状況の都合によりまだ充分に出来ておらず、本年度の課題と考え、今後取り組みを促進する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終的に、花卉園芸的利用可能性を見出すことを目的としているため、これまで交雑が試みられてこなかったより多くの組み合わせで本研究を進めることが重要であると考え、現在新たな種・系統の育成や導入にも取り組んでいる。 今後はこれまでの成果をさらに発展させ、また普遍化してゆくため、初年度に得られた結果や経験を元により詳細で効率的な調査を心がけさらなる成果を得たい。そのために引き続き係る経費を有効かつ適性に活用してゆく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度導入を計画していた物品、人工気象器は、学内施設を使用することが可能となったため、係る経費は使用するに至らなかった。また、観察に用いるために計上していたズーム式実体顕微鏡については、他の研究予算での導入が可能となったため使用に至らなかった。 今年度に持ち越された予算については、本申請課題の取り組みを促進してゆくため、必要な物品購入経費あるいは情報収集に係る国内旅費および調査をさらに効率的に進めてゆくための謝金に活用してゆく計画である。
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