2015 Fiscal Year Annual Research Report
カンキツ類の花成促進遺伝子CiFTの発現制御機構の解明
Project/Area Number |
25450053
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
遠藤 朋子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹茶業研究部門 カンキツ研究領域, 上級研究員 (50355400)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 武彦 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹茶業研究部門 カンキツ研究領域, ユニット長 (10355399)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 花成促進遺伝子 / 形質転換体 / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
カンキツ類の花成促進遺伝子CiFT(シロイヌナズナのFT遺伝子ホモログ)は、花成促進機能を持ち、花成時期に発現上昇が起こるため、花成誘導に重要である。カンキツ類では、花成を誘導する環境条件として日長よりも低温や乾燥が重要であるため、本研究ではその発現制御機構を解析する。 CiFTの発現制御領域を同定するため、上流域約3.7kbを含むゲノム領域をレポーター遺伝子(uidA)と結合したコンストラクトをシロイヌナズナに導入した。形質転換体の組織染色により、ロゼット葉等の器官においてuidAの発現が確認出来たため、この領域はプロモーター活性を有することが明らかとなった。そこで、これらのT3ホモ個体をカンキツ類の花成促進条件である低温(15℃または4℃)条件下で育成しuidAの発現を調査したが、対照(22℃下で育成)と比較して明確な発現誘導性は確認されなかった。この理由として、形質転換宿主のシロイヌナズナでは、今回の実験条件下では発現誘導に必要なトランス因子を発現していない等が考えられる。 さらに、ウンシュウミカンの接ぎ木苗を25℃恒温下で育成することによって花成を抑制しながら、定期的に植物調整剤を処理することによって花成誘導への影響を調査した。処理開始後1.5ヶ月後に全摘葉を行って、その後の発芽を観察したところ、対照は葉芽のみであったのに対し、処理を行った1個体で花芽が形成されたことから処理による花芽誘導の可能性が示された。今後は、処理個体数増や遺伝子発現への影響調査等を実施して実験の再現性を確認する必要がある。 本研究では、カンキツの花成誘導に重要なCiFTのプロモーター配列を同定した。また、カンキツ類に花成誘導効果をもつ可能性のある新規処理を見いだした。これらの結果は今後、カンキツ類の花成制御等の生理研究および開花制御技術の開発における基礎的知見となる。
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