2013 Fiscal Year Research-status Report
エクステンシンおよびレクチンの分解に関わるトマト斑点細菌病菌由来新規酵素群の解析
Project/Area Number |
25450061
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中村 正幸 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (90404475)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Xanthomonas / アラビノシダーゼ / エクステンシン / レクチン / 病原性 |
Research Abstract |
平成25年は、トマト斑点細菌病菌(Xcv)に認められる新規アラビノフラノシダーゼ遺伝子群のクローニングと組み換えタンパク質を用いた機能解析を行った。まず、データベース上にあるXcv85-10株の遺伝子配列を基に、プライマーを設計し、3つのアラビノフラノシダーゼ遺伝子をクローニングし、大腸菌を用いた組み換えタンパク質の発現を行った。3つの内2つのタンパク質発現に成功し、得られた組み換えタンパク質を用いて機能解析を行った。その結果、XcvHypBA2は、アラビノオリゴ糖鎖(3糖)から特異的に2糖のアラビノビオース(β-Ara2)を遊離する働きがあることが分かった。アラビノオリゴ糖鎖は、自然界では、植物の細胞壁に存在するエクステンシンとナス科植物由来のレクチンに認められることから、基質にエクステンシンと本細菌の宿主であるトマト由来のレクチンを用いたところ、XcvHypBA2は、これらの基質から直接β-Ara2を遊離することが明らかとなった。次に、XcvHypBA1の機能を解析したところ、本タンパク質は、β-Ara2より単糖のアラビノースを遊離することが分かった。エクステンシンやレクチンは、病害抵抗性に重要な役割を担っていることが知られていることから、これらの遺伝子群は、本細菌の病原性と関わりがある可能性が考えられた。これら遺伝子群は、植物病原細菌では、Xanthomoas属細菌のみに見つかっているユニークな遺伝子であり、得られた結果と合わせると、本結果は、微生物がどのように病原性を獲得するのかを理解する上で植物病理学上重要な知見となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今回、2つのタンパク質については、組み換えタンパク質の発現に成功し、可溶性タンパク質が得られたが、もう1つのタンパク質は、可溶化せず、組み換え発現系が成功しなかった。今後、発現ベクターと宿主の検討を行い、遅れを取り戻したい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はまず、タンパク質の発現に成功しなかったXcvHypAAの可溶化を目指す。大腸菌での発現がうまくいかない場合は、酵母やin vitro系の発現系も検討したい。これと平行して、すでに機能の特定できた遺伝子XcvHypBA1およびHypBA2の遺伝子破壊株を作成し、病原性との関わりを調査する。また、これら遺伝子群の遺伝子発現パターンも解析する。
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Research Products
(1 results)