2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25450068
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
春原 由香里 筑波大学, 生命環境系, 講師 (00302539)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 宏 筑波大学, 生命環境系, 教授 (10199888)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 新規除草剤候補物質 / アレロケミカル / 揮発性物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までの結果から、クミン種子から発生するクミンアルデヒドに高い植物生育抑制活性が認められたこと、また、タマネギ根部への処理で、死細胞数の増加、活性酸素の発生、脂質過酸化の増大が認められたこと等が明らかとなったが、死細胞数の増大が認められた低濃度域においては、必ずしも活性酸素(ROS)の発生増大は検出されなかった。そこで、本年度は、より検出感度の高い共焦点レーザ走査型顕微鏡を用いて、クミンアルデヒド処理によりROSの発生が増大する濃度域の再検討を実施した。その結果、クミンアルデヒド処理後のタマネギ根部において、死細胞数が増大し始める低濃度域から、ROSが増大していることが明らかとなった。また同じ濃度域から細胞分裂指数の低下していることも明らかとなった。さらに、ROS発生が認められた濃度以上になるとプログラム細胞死も増大していた。これらの結果から、クミンアルデヒドのタマネギ根部での植物生育抑制作用にはROSが関与しており、ROSによって細胞分裂の停止やプログラム細胞死等も引き起こされている可能性が示唆された。 また、これまで報告者らは、ウスバサイシンから発生するオイカルボンも高い植物生育抑制活性があることを報告してきたが、さらに、オイカルボン処理後に変動するイネタンパク質の解析(プロテオーム解析)も実施した。その結果、主にフラボノイド合成に関わるタンパク質が減少し、ストレス応答性タンパク質の増大がみられた。また、発現が増大したタンパク質の中に、ROS発生に関与するシュウ酸酸化酵素(OxO)やリグニン合成に関与するシンナミルアルコール脱水素酵素が見出された。また、実際にオイカルボン処理後にOxO活性が増大することが酵素レベルでも確認された。これらの結果から、OxO活性の増大がオイカルボン処理によるROS発生増大の一要因になっている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度に計画していた研究は、ほぼ順調に実施することができ、成果が得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに有用な天然の除草剤候補化合物を見出すため、揮発性物質に絞らずに幅広く化合物の探索と作用性の検討を実施したいと考えている。
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