2014 Fiscal Year Research-status Report
脱皮ホルモン受容体-リガンド相互作用の分子機構解明に向けた乾湿統合アプローチ
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25450070
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中川 好秋 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (80155689)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 20-hydroxyecdysone / molting hormone / ponasterone A / ecdysone / receptor binding / Sf-9 cell / Lepidoptera / Diptera |
Outline of Annual Research Achievements |
脱皮ホルモン受容体とそのリガンド分子の相互作用解析を行うことを目的として,イミダゾロチアジアゾールおよびイミダゾール系脱皮ホルモンアゴニストの合成を行った.脱皮ホルモン受容体に対する結合親和性の評価は,放射性リガンド([3H]Ponasterone A)の結合を50%阻害する濃度を求めて定量的に評価した.また,ハスモンヨトウに対する殺虫活性も調べた.
イミダゾチアジアゾール類の5位をエナミド[-CH=CH-C(=O)NH-iPr],6位を2-chlorophenylに固定し,2位に様々な置換基をもった化合物を合成した.チョウ目昆虫の細胞Sf-9を用いて,受容体結合親和性を測定し,構造と活性の関係を定量的に解析したところ,pIC50=1.52ClogP + 3.92F (n=8, s=0.349, r=0.985)という良好な相関関係が得られ,置換基の疎水性が高く誘起的電子求引性が高いほど活性が高くなることがわかった.さらに,モデリングの手法を用いてSf9の脱皮ホルモン受容体のリガンド結合領域を構築しドッキングシミレーションを行って,解析結果の検証を行った.受容体結合親和性の高かったCF3基をもつ化合物のハスモンヨトウに対する殺虫活性を測定したところLD50値は7.08 nmol/insectであった.
イミダゾール類は imidazolylbenzamideの2位に2-chlorophenyl基を持ち,4位および5位のアルキル置換基を種々変化させた化合物を合成し,様々な昆虫の脱皮ホルモン受容体に対する結合親和性を調べた.チョウ目でヤガ科昆虫の細胞Sf9とメイガ科昆虫の細胞UMC-OnE,ハエ目昆虫ヒトスジシマカの細胞AeAl2.コウチュウ目昆虫コロラドハムシの細胞BCIRL-Lepd-SL1を用いたところ.チョウ目昆虫に対して最も高い親和性を示した化合物では,ハエ目では1/10,コウチュウ目に対しては1/100であった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
報告書にも記載したように,化合物の合成は順調に進行した.活性の評価は主としてチョウ目昆虫由来の細胞を用いて行い,順調に活性の値を求め,構造と活性の関係を定量的に解析した.
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Strategy for Future Research Activity |
脱皮ホルモンの受容体は,昆虫によってそのアミノ酸の一時配列が異なる.特に,脱皮ホルモン分子が結合する部位に関しては,昆虫種目によってかなり異なることがわかっていて,それが原因で化合物に対する選択毒性が表れると考えられている.今後,この原因を詳細に検討するため,ホモロジーモデリングの手法を用いて受容体の立体構造を構築し,化合物との相互作用を調べる.
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Research Products
(10 results)