2013 Fiscal Year Research-status Report
配偶行動の解析を基盤とした難防除ノメイガ類性誘引剤の創製とその応用
Project/Area Number |
25450071
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
中 秀司 鳥取大学, 農学部, 准教授 (00443846)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 哲 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (50151204)
本田 洋 筑波大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (90126160)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | サツマイモノメイガ / ヘリグロキイロノメイガ / 炭化水素 / 人工飼料 |
Research Abstract |
室内累代法の確立: 既に飼育法の報告があるコブノメイガを累代飼育し、加えてヘリグロキイロノメイガ・マエキノメイガ・マタスジノメイガ・ヨスジノメイガ・マエウスキノメイガ・ウスジロキノメイガ・ウコンノメイガ・ミナミウコンノメイガについて人工飼料のみでの累代飼育法を確立した。ただし、ブドウの害虫であるモンキクロノメイガ・ホソオビツチイロノメイガの2種については、交配及び生葉での飼育に成功したものの、人工飼料による累代飼育に成功していない。 配偶行動解析: 前述の全種について、配偶行動の時間帯を明らかにし、性フェロモン抽出物を得た。これらは順次分析中である。コブノメイガに関しては、既知の性フェロモン成分のみでは処女雌ないし性フェロモン腺抽出物に対して雄の活性が鈍いことを明らかとした。これは抽出物中に未知の性フェロモン成分が隠れている可能性を強く示唆しており、カラムクロマト等で抽出物を分画した後、誘引活性再現に必要な画分のうち既知成分を含まないものを再分析することで、フェロモンルアーの誘引活性を劇的に向上させられる可能性が見えてきた。 性フェロモンの(再)同定: サツマイモノメイガについて、既知の成分に炭化水素成分T23を添加すると誘引活性が劇的に向上することを発見した(Yan et al.投稿中)。また、ヘリグロキイロノメイガから新規化合物Z13-16:OAcを性フェロモンとして同定し、野外で雄に対しごく強い誘引活性があることを確認した。また、炭化水素成分T23が雄に対して阻害活性を示し、これはノメイガ類で初の報告となる(Naka et al.投稿準備中)。一方で、マエアカスカシノメイガ・ミナミウコンノメイガ・ホソオビツチイロノメイガの3種については、性フェロモン成分を解析した後、合成性フェロモンによる誘引試験を行ったが、ほとんど雄が誘引されなかったため、成分の再同定あるいはトラップ条件の検討が必要である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画において主要な位置を占める害虫種のうち、コブノメイガは飼育系統の増殖がはかどらず、性フェロモン成分の再分析に至っていない。また、モンキクロノメイガ・ホソオビツチイロノメイガの2種の累代飼育法が開発できていない。 この2点以外は順調に進んでいる。とりわけ、初年度でサツマイモノメイガの誘引活性を劇的に向上させることができたこと、ヘリグロキイロノメイガの性フェロモンに関して、本研究全体に関わる多数の知見が得られたことが大きい。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究の推進方策として、以下の3点をH26年度に進展させることが必要と考える。 1) コブノメイガの大量累代飼育及び誘引活性向上: これまでの配偶行動解析より、コブノメイガ雄の誘引活性向上には、これまでに未知の微量性フェロモン成分が関与する可能性が高くなった。この成分を同定し活性を検証するには、常時大量の成虫を得られるべく、大量累代飼育を可能とせねばならない。 2) モンキクロノメイガ・ホソオビツチイロノメイガの累代飼育法確立: これら2種をブドウ葉粉末を基剤とした人工飼料で累代飼育できるようにする。交配及び生葉での飼育は既に成功している。ホソオビツチイロノメイガは性フェロモン成分の同定を試みているが、合成性フェロモンの誘引活性が処女雌に大きく劣るため、その向上が必須となる。 3) ハイマダラノメイガの飼育及び性フェロモン成分の再同定。ノメイガ類重要害虫のフェロモンルアー改良は本研究課題の主軸であるが、アブラナ科蔬菜の重要害虫ハイマダラノメイガのフェロモンルアー改良に着手していないので、H26-27年度で一定の成果を出すべく研究を進める。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額\348,788-は全て共同研究者である本田 洋(筑波大学)の未使用分である。 当初はH25年度に\500,000-を配分し、H26年度に\100,000-、H27年度に\0-を配分する予定であったが、H26年度に本田の分担であるモモノゴマダラノメイガの野外トラップ試験で研究費を必要とすることになったため、H25年度に使用する予定であった研究費の一部をH26年度に使用することとした。 モモノゴマダラノメイガの新しいフェロモンルアーを作成し、野外で誘引試験を行う。
|
Research Products
(2 results)