2015 Fiscal Year Research-status Report
昆虫の培養細胞を用いた植物ウイルスの伝搬に関わるウイルス・宿主因子の解明
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25450073
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Research Institution | 国立研究開発法人農業生物資源研究所 |
Principal Investigator |
一木 珠樹 国立研究開発法人農業生物資源研究所, 分類評価研究ユニット, 研究員 (70355501)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 昆虫の培養細胞 / 宿主遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
イネ萎縮ウイルスはレオウイルスに属する植物ウイルスで、ツマグロヨコバイに媒介され、イネに感染する。感染したイネは萎縮し収量が激減する。本ウイルスがツマグロヨコバイに媒介されるためには虫の体内で増殖する必要があり、それらを制御することで、イネ萎縮ウイルスによる病害防除につながり、またレオウイルスの感染生理も明らかにできる。感染増殖に必要な宿主因子を探索するため、本ウイルスを媒介するツマグロヨコバイの培養細胞の熱ショックタンパク質をコードすると予想される遺伝子のdsRNAを作成し、導入することによって培養細胞の遺伝子発現を抑制した後、イネ萎縮ウイルスを感染させ、リアルタイムRTPCRでウイルスの増殖量を調べた。その結果、イネ萎縮ウイルスの増殖は有意に抑えられることを確認した。 これらの遺伝子の発現を抑制した培養細胞を用いてウェスタンブロッティングを行った結果、熱ショックタンパク質の蓄積が対照区に比べて減少している事をを確認した。これらのことから、イネ萎縮ウイルスの感染増殖には熱ショックタンパク質の存在が重要であること、また熱ショックタンパク質の減少によってウイルスの増殖も抑えられることがわかった。また宿主タンパク質の発現もdsRNAを導入することによって有意に抑制できることが明らかになった。これらの結果をさらに確認するために追試を行い、論文にまとめる準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は家族の看護や研究補助員の雇用ができなかったことなどから、実験が予定よりも進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
ウイルス増殖に関わる遺伝子を探す手段として、RNAiを行ってきたが、今後はウイルスに感染した培養細胞の遺伝子の変動も解析できないか検討したい。
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Causes of Carryover |
研究費の不正経理調査の影響により、研究補助員の雇用制限があたった目、実験が進まず、また子供が病気になり、介護のために休職などして研究時間が十分とれなかったため、研究の進行が遅れた
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
培養細胞を維持しつつ、論文投稿のための実験を引き続き行いたい。また、ウイルス感染による宿主遺伝子の変動を調べることを検討している
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