2013 Fiscal Year Research-status Report
マメ科植物-根粒菌共生における新しい共生経路の解明
Project/Area Number |
25450082
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
岡崎 伸 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (40379285)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | III型分泌機構 / 共生 / マメ科 / 根粒菌 |
Research Abstract |
病原菌の中には、III型分泌機構と呼ばれる細胞膜上の複合体により、宿主細胞に病原因子を注入するものが存在する。申請者らは、マメ科植物と共生する根粒菌にもIII型分泌機構が存在し、ダイズの共生遺伝子を直接活性化することを明らかにした(Okazaki et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 2013, 42:17131-17136)。本研究では、III型分泌機構によるマメ科植物-根粒菌共生における新しい共生経路の解明を目指している。今年度の研究実績の概要は以下のとおりである。 1. これまでに行ったRNA-Seq解析やアミノ酸配列の比較解析、III型分泌機構の制御因子TtsI結合配列の検索等により、ダイズ根粒菌Bradyrhizobium elkanii USDA61株におけるIII型分泌タンパク質(エフェクター)候補遺伝子を12個選抜した。これらのエフェクター候補遺伝子について、相同組換え法により遺伝子破壊株を作製した。今後、遺伝子破壊株をダイズ等に接種して共生形質を検討することで、共生遺伝子を活性化するエフェクターの同定を行う予定である。 2. Aeschynomene属マメ科植物は、Nodファクターを作らない光合成Bradyrhizobium属細菌により根粒が形成される原始的な共生とされている。Aeschynomene属マメ科植物にB. elkaniiを接種したところ、III型分泌機構依存的に根粒様組織が形成されることを見出した。この結果から、III型分泌機構がNodファクターに依存しない原始的な共生系と関連していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規共生経路の解明において最も重要な「エフェクターの同定」に向けて、(1)12種類のエフェクター候補遺伝子の選抜と、(2)エフェクター候補遺伝子の破壊株の作製、を完了しており、順調に進展しているといえる。さらに、ダイズ根粒菌Bradyrhizobium elkaniiがAeschynomene属マメ科植物へIII型分泌機構依存的に根粒様組織を形成するという発見は、Nodファクター非依存的な原始的共生においてもIII型分泌機構が共生シグナルを活性化させうることを示唆しており、原始根粒菌の起源を考える上でも重要な知見といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
エフェクター候補遺伝子破壊株はダイズに接種して共生形質を解析する。 Aeschynomene属マメ科植物とBradyrhizobium elkaniiとの共生については、根粒様組織の形態学的解析と、宿主側共生遺伝子の発現解析を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験補助者の人件費に使用する予定でいたが、新規に得られた実験結果により、その後の試験区を大幅に減らすことができたため、実験補助者を雇用する必要がなくなり、残額が生じた。 新規に得られた実験結果により新たに必要になる実験のための実験器具や試薬などの消耗品の購入費用として使用する。
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Research Products
(7 results)