2014 Fiscal Year Research-status Report
出芽酵母の前胞子膜形成におけるリン脂質代謝制御機構とその役割の解明
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25450094
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
舘川 宏之 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (60251576)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 生体膜 / 出芽酵母 / リン脂質 / 胞子形成 / メンブレントラフィック / ジスフェリン |
Outline of Annual Research Achievements |
出芽酵母前胞子膜形成過程におけるリン脂質代謝制御機構とその役割を解明するため、以下の研究を行った。 1 前年度の研究で、以前の予想に反して、前胞子膜上のPI4Pの減少がその伸長において重要であることを示唆する結果を得ている。これについて検討するため、まず、Stt4およびEfr3がspo73の表現型を回復するのに必要なドメインを、欠失変異体を作製することにより調べた。その結果、いずれにおいてもYpp1との相互作用に必要な領域が重要であることが明らかになり、PI4-kinase複合体の形成を阻害することによりspo73の表現型を抑圧している可能性が考えられた。 2 さらなる確証を得るため、Auxin-inducible Degronのシステムを用いて、PI4-kinaseのcatalytic subunitであるStt4を胞子形成時特異的に分解する系を構築した。野生株では胞子形成に大きな影響は見られなかったのに対し、spo73変異株においては、胞子形成が部分的に回復することが明らかになった。Stt4が前胞子膜上に局在することを考えると、この結果は、胞子膜上のPI4P合成量の減少がspo73変異株で前胞子膜が伸長できない表現型を回復することを示している。 3 物理的に相互作用するタンパク質の探索のため、Spo73, Spo71その他関連因子にタグを付加して、胞子形成時に発現させる系を構築した。Pull-down-MSによる相互作用タンパク質の同定を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね研究は順調に進んでいるが、昨年の予想に反する結果を検証することを優先して行っている。そのため、相互作用タンパク質の探索がまだ途中となっており、早くその結果を得たいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年得られた結果より、PI4Pのレベルを下げることにより、前胞子が伸長するという、新たなモデルをたてている。このモデルでは、Spo73がSpo71とともに、前胞子膜上のPI4Pのレベルを下げ、それによって前胞子膜が伸長可能となるというものである。Spo73がどのようにしてPI4Pのレベルに影響を与えるのか、また前胞子膜上のPI4Pの量が変化したときに局在が影響を受けるタンパク質の探索、そしてSpo71, Spo73との相互作用タンパク質の同定と解析を通して、新たなモデルを検証して行きたい。これらを通して、リン脂質の関与する普遍的な生体膜形態形成機構にせまりたい。
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Research Products
(3 results)