2013 Fiscal Year Research-status Report
麹菌のプロセッシングプロテアーゼの基質となる菌糸分岐制御タンパク質の探索と同定
Project/Area Number |
25450096
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
山形 洋平 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (40230338)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 道雄 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (50092490)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 黄麹菌 / Aspergillus oryzae / processing protease / kexin / protein secretion |
Research Abstract |
麹菌 A. oryzae のゴルジに存在する唯一のプロセッシングプロテアーゼである KexA 並びに KexB の生体内での基質を決定するために必要なツールとなるタンパク質の発現と精製を試みた。pull-down 用の FLAG-tag、精製用の His-tag を付加し、膜貫通領域を欠失した KexA あるいは、KexB をコードする遺伝子を麹菌用発現ベクター pNGA142 の 改変グルコアミラーゼプロモーターの下流に挿入した。各プラスミドを用いて、A. oryze niaD300 株を形質転換し、KexA 並びに KexB 高発現株を作製した。各高発現株をマルトースを含む発現誘導培地で培養し、培養上清、菌体内可溶性画分、菌体内不溶性画分について SDS-PAGE でタンパク質の生産を確認し、抗His-tag 抗体を用いたウェスタンブロッティングによってタンパク質の発現を確認した。興味深いことにKexA は、細胞内の可溶性画分、不溶性画分、細胞外可溶性画分のいずれにおいても発現していることが確認できたが、KexB は菌体内可溶性画分のみに発現していることが確認できた。一方、活性測定の結果からは、KexB が培養上清に置いても発現していることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、in vivo 用にFLAG-tag を持ち、膜貫通領域を持たない KexA 並びに KexB を作成し、in vitro 解析用に前述の発現系を造成する予定であったが、in vivo 用の解析系が先に完成できた。これは、膜貫通領域を持つ両酵素の高発現株作製のための形質転換がうまく行かなかったためである。これに対して、in vitro 解析用タンパク質の発現はこれらの問題がなかったため、膜貫通領域を持つことでゴルジ体にこれらの酵素が大量に蓄積してしまい、タンパク質分泌などに影響が生じてしまい、生育が困難になったものと考えられた。しかし、 in vitro 用の解析ツールの作製は順調であったため、in vitro 解析を先行しておおなうこととした。最終的な解析には問題がないものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度以降は、in vitro の pull down assay を優先的に行い、in vitro での pull down assay によって KexA, KexB の基質の同定を行うこととする。引き続き、膜貫通領域を持つ KexA および KexB の発現系の構築は、継続する。先行する in vitro での pull down assay で得られたタンパク質について、麹菌ゲノム情報を利用して、そのコードする遺伝子を明らかにし、その機能の推定を行う。この中で、細胞壁形成に関与すると推定されるタンパク質の欠損株を作成し、表現型の観察を行う。この中でKexA の pull-down からは、菌糸の分岐が生じない変異株が、KexB の pull-down からは、菌糸の分岐が過剰になる変異株が得られると考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
KexA 並びに KexB のin vivo 解析用の発現系の造成に遅れが生じたため、全体計画が若干の遅れをきたしたためである。 pull down assay とタンパク質の同定が行えなかったためである。次年度以降、in vitro での pull down を行うことで予定通りの使用が見込まれる。
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