2015 Fiscal Year Annual Research Report
Small RNAによる細菌のキチン分解利用系の連動的な制御機構
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25450097
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
鈴木 一史 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (00444183)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 遺伝子発現 / small RNA / 応用微生物学 / キチナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
Small RNAによって細菌のキチン分解利用系(キチン分解酵素群の生産、分解産物の取り込み、分解産物の代謝)が連動して制御される新たな遺伝子発現調節機構の解明が本研究の目的である。今回、以下の研究結果を得ることが出来た。 Small RNAであるChiX (MicM)のchiP (ybfM) 及びchiR mRNAとの塩基対形成に関与すると考えられる領域のうち、リボソーム結合配列に相補な配列上の1塩基を置換した変異chiX遺伝子を細胞内で発現させた結果、ChiXのターゲットであるchiP、chiRの発現抑制が解除されたことから、ChiXはchiP及びchiR mRNAと塩基対を形成して制御していると考えられた。また、chiPQ-ct bmRNAの各領域をRT-PCRによって検出した結果、chiP 5’非翻訳領域 (UTR)の領域は他の領域よりも多く存在しており、ChiXが塩基対形成をすることによってこの領域が安定化している可能性が示唆された。chiP mRNAとの相補配列領域はchiR mRNA よりも長い。そこで、chiR mRNA相補配列以外の塩基を置換し、同様に細胞内で発現させたが、変異ChiXの機能に大きな変化は認められなかった。さらに、chiP 及びchiR 5’ UTRと翻訳領域の一部を含む領域をプラスミドにクローン化して細胞内で発現させた結果、chiP 5’ UTRの発現はキチナーゼの発現抑制を解除できるのに対し、chiR 5’ UTRの発現はキチナーゼの発現抑制を解除することができなかった。よって、ChiXによるchiR翻訳抑制の解除は、単なる相補配列を有するRNAの発現ではなく、chiP 5’ UTRの特殊性が関与していると考えられた。
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