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2013 Fiscal Year Research-status Report

酵母遺伝学的解析系を用いた植物病原菌エフェクターの分子機能の解明とその応用

Research Project

Project/Area Number 25450104
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionKagawa University

Principal Investigator

田淵 光昭  香川大学, 農学部, 准教授 (00294637)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 田中 直孝  香川大学, 農学部, 准教授 (60324109)
Project Period (FY) 2013-04-01 – 2016-03-31
Keywords病原菌エフェクター / 酵母 / 青枯病菌 / グルタチオン / 病原性
Research Abstract

昨年度は、酵母に対して増殖抑制を引き起こす青枯病菌エフェクター(Ralstonia Effector inhibiting Yeast growth 4) REY4について、酵母発現系を用いて解析を行った。酵母ヘテロ接合体必須遺伝子破壊株ライブラリーに網羅的に形質転換し、REY4過剰発現により野生株より強い感受性を示す変異株をスクリーニングすることにより遺伝的相互作用解析により標的遺伝子の探索を行った。その結果、チオレドキシン(TRX)還元酵素ヘテロ接合体破壊株においてREY4に対して感受性が見られた。TRXは細胞内のレドックスを制御する因子であることから、REY4はレドックス代謝を標的としている可能性が示唆された。また、REY4の一次構造を元に三次構造予測を行ったところ、本タンパク質は、細胞内のグルタチオン(GSH)を分解するγ-グルタミルシクロトランスフェラーゼ(γ-GCT)と高い相同性が見られた。細胞内のレドックス制御においてGSH系とTRX系は互いに補完的な機能を有していることから、前述の遺伝的相互作用解析の結果からもREY4がGSHを標的としていることが考えられた。そこで、REY4の推定のγ-GCT活性中心の変異体を作製し、酵母に発現させたところ、変異体は野生型で見られるような酵母に対する増殖阻害作用を全く示さなくなった。また、野生型REY4過剰発現酵母内のGSH濃度を測定したところ、コントロールと比較して細胞内GSH濃度は30%程度にまで減少していた。また、酵母で発現させREY4タンパク質を簡易精製することでγ-GCT活性を測定したところ高い活性が検出された。一方、REY4タンパク質を大腸菌で発現させた場合においては、γ-GCT活性は全く検出されなかった。これよりREY4は真核生物由来の何らかの因子によりγ-GCT活性を活性化することが予測された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

当初計画では破壊株ライブラリーを用いた酵母遺伝学的相互作用解析により標的因子候補の同定を目的としていたが、既にREY4の標的因子がグルタチオンであるということを明らかにし、また、酵素としての分子レベルでの機能解析も詳細な解析を行うことができた。また、研究実績の概要では記述していないが、研究の目的としていたもう一つのエフェクターであるREY1の機能解析についても酵母内での形質膜への局在化に必要な分子内ドメインを明らかにし、酵母に対する増殖抑制と形質膜への局在化に必要なドメインが異なることを明らかにしている。それぞれのエフェクター機能の分子レベルでの解析が順調に進んでいおり、特にREY4の機能解析については計画以上に進んでいる。

Strategy for Future Research Activity

REY4は、酵母細胞で発現させた場合において強いγ-GCT活性が見られるが、大腸菌で発現させた場合においては全く活性が見られない。そこで、酵母からREY4の活性化因子の精製を試みる。酵母細胞を破砕し、タンパク質を抽出し、大腸菌で発現させたREY4の活性化を指標として活性化因子を各種クロマトグラフィーにより精製し、最終的に単一タンパク質にまで精製を行う。精製した活性化因子は、TOF-MS分析により同定する。活性化因子が同定できたならば、活性化因子を大腸菌で発現させ、同じく大腸菌で発現させたREY4と混合することによりin vitroで活性化が起こるかを確認する。青枯病菌は宿主感染時にREY4を注入することで宿主細胞内のグルタチオンを特異的に分解することで病原抵抗性シグナルを阻害していることが予期される。そこで、REY4を欠損した青枯病菌を作製し、青枯病菌の野生型株とrey4Δ株をナスの葉に感染させ、感染部位の細胞内のグルタチオンを測定することで実際に感染時にREY4依存的にグルタチオン濃度の減少が見られるかを解析する。
REY1については、また、REY1の形質膜への局在化に必要な因子を各種酵母変異株を用いることで明らかにする。REY1の形質膜への局在化に必要な因子が同定できたならば、この因子に対する蛍光プローブとして応用が可能であることが考えられるため、REY1の細胞増殖阻害活性を無くした変異型REY1と蛍光タンパク質を融合し、培養細胞などを用いた蛍光プローブの応用について検討を行う。また、REY1の増殖阻害活性については、REY1過剰発現酵母の増殖阻害を抑圧するマルチコピーサプレッサーをスクリーニングし、遺伝学的にREY1の酵母内標的因子の同定を試みる。

  • Research Products

    (5 results)

All 2014 2013

All Presentation (4 results) Patent(Industrial Property Rights) (1 results)

  • [Presentation] 宿主グルタチオン代謝を制御する病原菌エフェクターの酵母システムによる機能解析2014

    • Author(s)
      藤原祥子, 田中直孝, 田淵光昭
    • Organizer
      日本農芸化学会2014年度大会
    • Place of Presentation
      明治大学生田キャンパス
    • Year and Date
      20140329-20140329
  • [Presentation] 酵母発現系を用いた植物病原菌エフェクターの機能解析2013

    • Author(s)
      長谷川純一, 藤原祥子, 忻詩博, 田中直孝, 田淵光昭
    • Organizer
      第31回YEAST WORKSHOP
    • Place of Presentation
      鹿児島大学
    • Year and Date
      20131101-20131102
  • [Presentation] 宿主グルタチオン代謝を制御する病原菌エフェクターの酵母発現系を用いた機能解析2013

    • Author(s)
      藤原祥子, 長谷川純一, 忻詩博, 田中直孝, 田淵光昭
    • Organizer
      第31回YEAST WORKSHOP
    • Place of Presentation
      鹿児島大学
    • Year and Date
      20131101-20131102
  • [Presentation] 酵母遺伝学的解析系を用いた青枯病菌エフェクター宿主標的因子の探索2013

    • Author(s)
      忻詩博, Crina Popa, Marc Valls, 田中直孝, 田淵光昭
    • Organizer
      日本農芸化学会中四国支部第36回講演会
    • Place of Presentation
      島根大学
    • Year and Date
      20130608-20130608
  • [Patent(Industrial Property Rights)] 新規グルタチオン特異的γ-グルタミルシクロトランスフェラーゼ2013

    • Inventor(s)
      田淵 光昭
    • Industrial Property Rights Holder
      田淵 光昭
    • Industrial Property Rights Type
      特許
    • Industrial Property Number
      特願2013-225795, (2013)
    • Filing Date
      2013-09-30

URL: 

Published: 2015-05-28  

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