2014 Fiscal Year Research-status Report
好熱性桿菌の遺伝子工学技術を基盤とした耐熱性有用酵素群の新開拓
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25450105
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
鈴木 宏和 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80462696)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ジオバチラス / 活性スクリーニング / 好熱菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
Geobacillus kaustophilus中ではプラスミドが不安定で,活性スクリーニングによって得られた陽性クローンの挿入断片が大きく欠失する現象が見られた。このことからG. kaustophilusをライブラリー宿主として利用するには,プラスミド安定維持のツール開発が必要と考えられた。そこで平成26年度では,新たな宿主ベクター系開発を中心として取り組み,以下の研究成果を得た。
① シャトルプラスミドのマーカーとして,高温機能性クロラムフェニコール耐性遺伝子を創出し,それを用いたプラスミドを作製した。構築したプラスミドは,大腸菌とG. kaustophilusで機能した。②クロラムフェニコール耐性遺伝子を用いた染色体挿入型ベクターを構築した。コピー数が低いためか,染色体挿入はクロラムフェニコールによって選択できなかった。③高温機能性チオストレプトン耐性遺伝子を創出し,それを用いたプラスミドを作製した。構築したプラスミドはチオストレプトン選択によってG. kaustophilusに導入できたが,その機能性は既存マーカー遺伝子を上回るものではなかった。③G. kaustophilusが本来持っている大型プラスミドpHTA426をクローニングベクターとして利用するために,pHTA426をキュアリングした。
またライブラリー化のみではなく,好熱菌由来遺伝子の細胞内機能性評価にG. kaustophilusを利用することで,新規有用遺伝子を開拓できないかも検討した。このために,まずは多糖分解性を指標とした好熱菌を探索し,非常に様々な糖類を資化できる好熱菌(OS27株)を得た。OS27株のドラフトゲノム解析を行い,幾つかの有用遺伝子候補も見出した。それら遺伝子のG. kaustophilus内発現系を構築している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Geobacillus kaustophilusをライブラリー宿主とするには,プラスミド安定維持が必要であり,平成26年度研究は,その方法開発を中心とした。好熱菌遺伝子工学の新たなツ-ルが開拓できた一方で,プラスミド安定維持に関わる画期的な方法は見出されておらず,スクリーニングによる遺伝子探索も進んでいない。これを理由に“やや遅れている”と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度において見出されたOS27株は,優れた遺伝子探索源である。平成27年度は遺伝子探索源をOS27に絞り,G. kaustophilusを用いた遺伝子探索法に関する新たな可能性について引き続き研究していく。まずはOS27のライブラリー化を再検討し,引き続きライブラリーからの遺伝子スクリーニング法も検討する。研究協力者からは,ライブラリーの品質は実験者の力量に大きく依存するというアドバイスを受けた。多少不安定でも,ライブラリー化によるスクリーニングを再検討していく。
また同時に,OS27ゲノムに見出される有用遺伝子候補を,G. kaustophilusを宿主とした迅速スクリーニングによって機能解析するという利用法も検討していく。
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Causes of Carryover |
平成25年度から平成26年度に繰り越した予算を,およそそのまま引き継ぐ結果となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究計画の若干の遅れによって,平成27年度も広くスクリーニングを行う必要がある。繰り越された助成金は,それに要する消耗物品の購入もしくは研究成果発表に使用する。
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