2013 Fiscal Year Research-status Report
メタゲノム法によるアオコの消長に関与する細菌とファージの同定と季節変動解析
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25450108
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
福島 淳 秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (00181256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 亮樹 秋田県立大学, 生物資源科学部, 研究員 (20646137)
岡野 邦宏 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教 (30455927)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アオコ / Microcystis / ファージ / メタゲノム / 次世代シーケンサ / Microcystin |
Research Abstract |
アオコ発生のメカニズムを解明するために、アオコ発生環境における微生物叢及びウイルス(主に細菌のウイルスであるファージ)叢をメタゲノム手法により解析している。月に1回湖水をサンプリングし、細菌画分とウイルス画分に分画し、それぞれからDNAを抽出した。そのDNAを、ショートリードタイプの次世代シーケンサを使用してショットガンシーケンスを行った。それらの配列の解析から存在する細菌とファージ種の推定を行った。同時に配列数より、比存在量の推定も行った。我々は既に2年分のデータを収集している。これらのデータの解析より、以下のことが解明された。1)7-8月のアオコ発生時において、アオコ中で優先するランソウはMicrocystis属菌で、特に6株の菌で、全体の90%以上を締めていた。2)このMicrocystis属菌の中にはMicrocystin という毒素を産生する能力がある菌が含まれている可能性があった。3)Microcystis属細菌は9月には急速に減少した。4)同じ環境に存在する可能性のあるファージはMicrocystis属菌に感染している可能性のあるものが検出された。5)このMicrocystis属菌に感染している可能性のあるファージは7月にはほとんど検出されないが、8月以降、少なくとも11月までは高い値を維持していた。以上の観察から、9月以降にMicrocystis属細菌が急速に減少するのはファージが関与していることが強く示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アオコ発生環境におけるメタゲノム解析に関しては予定通りサンプリングを行った。またこの際に例年通りアオコが発生し、その中の微生物叢解析が可能なサンプルを得られた。そのサンプルの解析において、当初の想定以上の成果をあげた。すなわち、アオコ構成細菌を詳細に解析し、アオコ主要細菌の動態が解明できたと考えている。 一方、ファージに関する研究においては、アオコ発生環境に存在する可能性のあるファージの同定ができた。一方、ファージの分離に関しては現在成功していないが、まずはアオコに関与する細菌の分離を行い、その細菌について分離株を得ている。これらの最近は増殖が遅く、ファージの分離にまでは至っていない。この研究は現在進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
メタゲノム解析に関しては2年間のデータを得ているが、再現性を確認するためにももう1年調査する必要がある。今後はこれらのサンプルから得られたデータの詳細解析を行う。ファージに関しては、現在ファージゲノム再構成は一部できている、一方、宿主を用いたファージの分離は現在成功していない。しかし宿主となる細菌の分離には成功しているので、まずは抗生物質によるファージの産生誘導実験を行う予定である。さらに環境から分離したウイルス画分を分離細菌に感染させてその増殖を調べる実験を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次世代シーケンサ用DNAの調製などの試薬が予定より少なく、さらにファージの培養や保存のための試薬の使用が少なかったため、物品費に余剰が生じた事が主な理由である。 今年度は昨年度ほとんど進展しなかったファージの培養のための試薬類に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)