2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25450118
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
中山 洋 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 専任研究員 (80321793)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | リポタンパク質 / アシルトランスフェラーゼ / N-アセチル化 / 翻訳後修飾 / 質量分析 / 枯草菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
細菌リポタンパク質は、共有結合脂質をアンカーとして生体膜に局在し、代謝、接着、情報伝達など細胞の生存に重要な役割を担う。グラム陰性細菌とアクチノバクテリアのリポタンパク質は連続して働く一連の酵素(Lgt, Lsp, Lnt)によりトリアシル化修飾を受けて成熟し機能する。これに対して低G+Cグラム陽性細菌やマイコプラズマのゲノムにはこれらの酵素のうちジアシルリポタンパク質のαアミノ基にアシル基を転移してトリアシルリポタンパク質を合成する大腸菌Lntホモログが存在しないことから、これらの細菌ではジアシルリポタンパク質が成熟型として機能していると考えられていた。しかし、私たちは質量分析により、黄色ブドウ球菌、枯草菌、腸球菌などの低G+Cグラム陽性細菌やマイコプラズマのリポタンパク質が新規脂質修飾構造を含むNアシル化を受けることを示した。これら予想外のNアシル化リポタンパク質の存在はこれらの細菌に未知の修飾酵素(群)が存在することを強く示唆する。本研究では、多様な脂質修飾の機能を明らかにするため、枯草菌Nアシル化酵素の同定を目指す。 まず、枯草菌遺伝子破壊株からリポタンパク質のNアシル化の有無を検出するための質量分析系を検討し、従来非イオン性界面活性剤Triton X114による濃縮後でないと検出できなかったリポタンパク質Nアシル化を抽出液からの分析で可能とした。次に、遺伝子破壊株コレクションをもちいた検索を開始したが、増殖速度が低いものが多く効率的なスクリーニングが出来なかった。今年度は、低G+Cグラム陽性細菌およびマイコプラズマで保存されている膜タンパク質と予想される遺伝子の破壊株や大腸菌Lntと類似したトポロジーが予想されるタンパク質遺伝子の破壊株を優先的に検索したが、これまでのところジアシル型のみを合成する変異株を検出することはできていない。
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