2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25450124
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
高橋 芳弘 九州産業大学, 工学部, 准教授 (20390891)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ポリアミン / ポリアミンオキシターゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
植物生体内には、ジアミンのプトレッシン、トリアミンのスペルミジン、テトラアミンのスペルミン及びサーモスペルミンの4種類のポリアミンが比較的豊富に存在しており、胚発生、細胞分裂、形態形成、維管束分化、花器官の発育促進、老化抑制など、様々な生長過程に関与する事が知られている。さらに近年の研究から、これらのポリアミンは、病原菌感染時の防御応答、塩、乾燥、高温など複数の環境ストレス耐性にも関わる高機能分子である事が明らかとされ、植物の生体内ポリアミン量を人為的に制御する事で、様々な環境ストレスに強い理想的な農作物作出につながる大きな可能性が示された。そこで本研究では、ポリアミンと環境ストレス応答機構に着目すると共に、その中でも特に知見の乏しいポリアミン分解機構に関わる因子の機能や特徴、環境応答機構への関わりを明らかにする事を目的とした。 これまでの研究から、植物には複数のポリアミン分解酵素遺伝群が保存されており、比較的相同性は高いものの、それぞれの酵素化学的特徴が異なっている。そこで、様々なポリアミン分解酵素を用いた詳細な基質特異性解析を通じて、基質認識に関わる部位を大まかに理解した。また、ポリアミン分解系と環境ストレス耐性との関わりを、双子葉植物、単子葉植物の双方を用いて検討した結果、非生物的ストレスを受けた植物体では、ポリアミン分解系が抑制される事で生体内ポリアミン量が上昇する共通機構の存在が示唆された。その他、ポリアミン処理による生体防御能の強化に関する詳細な解析を通じて、単子葉植物、双子葉植物双方で確認される共通機構の存在を明らかとした。
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