2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25450132
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
秋田 充 愛媛大学, 農学部, 准教授 (50335890)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 生化学 / 蛋白質輸送 / 葉緑体 / 分子間相互作用 |
Research Abstract |
本研究は、独自の蛋白質輸送システムを有する葉緑体の蛋白質輸送時における同定済蛋白質輸送装置構成因子の連携および未同定蛋白質輸送装置構成因子の同定を目的としている。この目的の達成のためには、輸送基質である前駆体蛋白質に、蛋白質輸送チャンネルをふさぐのに十分な大きさの立体障害を導入することで、前駆体蛋白質の輸送が停止した膜透過中間体の獲得が有効であると考ている。平成25年度においては、立体障害を導入するために、葉緑体蛋白質輸送研究で広く用いられているRubisco小サブユニット前駆体蛋白質をベースにして、タグやポリペプチドの導入による改変を行った。 改変の結果、以下の前駆体蛋白質を新たに作製した:①将来的に前駆体蛋白質を特異的に検出したり、前駆体蛋白質自身、あるいは、前駆体蛋白質と相互作用する因子を精製をしたりするためのタグを挿入したもの、②前項の前駆体蛋白質に、さらにメトキサートの存在下で3次構造を形成するジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)を複数個挿入したもの、③ストレプトアビジンを結合させるために、大腸菌でin vivoでビオチン化するビオチンアクセプターペプチド(BAP)タグを連結したもの。 いずれの前駆体蛋白質も大腸菌で過剰発現し、得られたリコンビナント前駆体蛋白質をin vitro葉緑体蛋白質輸送実験に供したところ、葉緑体内部への輸送が観察された。特に③のBAPタグを有する前駆体蛋白質は過剰発現の際、in vivoビオチン化があわせて観察され、ストレプトアビジンアガロースを用いた精製に有用であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画で提案した一部の課題については、時間を要さないでも可能な材料の調製であったことから、当初、3か月をめどに立体障害を導入するための前駆体蛋白質の改変を進めたが、様々な技術的困難に遭遇し、それらを条件検討をしながら一つ一つ解決するために多くの時間を費やすこととなったため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の研究実績に基き、以下に記すように、従来平成25年度中に開始予定であった課題に取り組む。その中でも重点的に実施する課題について具体的に記述する。 大腸菌でin vivoビオチン化されたBAPタグを連結した前駆体蛋白質(prSS-BAP)が、ストレプトアビジンアガロースにより効率的に精製されることが確認できた。そこで、この前駆体蛋白質をさらに、部位特異的架橋実験を行うことができるようにシステイン残基を一個だけ有するように改変する(prSSC1-BAP)。光反応性架橋剤で修飾したprSSC1-BAPをエネルギー制限下で葉緑体表層に結合させ、紫外光を照射することで形成される架橋複合体をBAPタグに付加したビオチンを利用して精製し、架橋複合体の同定を行う。 また、従来は、リコンビナント前駆体蛋白質は封入体として回収されていたが、DHFRを挿入した前駆体蛋白質蛋白質等では可溶性の状態で獲得できることが望ましいため、大腸菌で過剰発現していながら、前駆体蛋白質を可溶性画分に回収するための条件検討をあわせて行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
未使用額が473円と少額であったために、次年度に使用することとした。 平成26年度において、平成26年度に配分される物品費とあわせて使用する。
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Research Products
(2 results)