2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25450133
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
郷田 秀一郎 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (00346587)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 孔形成毒素 |
Outline of Annual Research Achievements |
膜孔形成毒素(Pore forming toxin)の一つであるナマコ由来溶血性レクチンCEL-IIIは、赤血球表面の糖鎖を認識し、膜孔を形成することによって溶血活性を示す。膜孔形成はダイナミックな構造変化を伴う多量体化によって引き起こされるが、その構造変化については知られていない。研究代表者らはCEL-IIIの溶液状態での単量体の立体構造と膜孔形成時の多量体構造をX線結晶構造解析によって明らかとしている。単量体の立体構造解析からCEL-IIIには糖を認識するドメイン1,2及び多量体化に関与するドメイン3があることが明らかとなっている。また、多量体化には、まず細胞表面を認識した後にプレポア構造と呼ばれる、膜孔形成中間体が存在することが示唆されている。 そこで、CEL-IIIの膜貫通部位に変異を導入することによってプレポア構造の解明を試みた。まず始めにドメイン間の相互作用が溶血活性に与える影響を解明するため、同部位への変異導入の影響を解析した。変異の導入は、プライマーを用いたPCRによって行い、変異体の作成に成功した。変異体は大腸菌を宿主に用いた組換えタンパク質として生産した。得られたタンパク質を用いた赤血球溶血活性測定の結果、変異の導入により溶血活性が大きく影響されることが明らかとなった。 26年度までに、膜貫通部位と糖認識部位間の相互作用に関係する部位への変異導入を行い、異なる部位への変異導入による溶血活性の変化を測定し、解析した。27年度は多量体の立体構造解析の結果より、膜貫通部位及びその周辺のアミノ酸残基への変異の導入を行い、その影響の解析を行った。その結果、異なる部位及び異なるアミノ酸への変異の導入による溶血活性に対する影響が異なることを明らかとした。これらの解析から膜孔を形成する構造変化に対する各アミノ酸の寄与を明らかとした。
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