2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25450136
|
Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
藤原 誠 上智大学, 理工学部, 准教授 (90332345)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
箸本 春樹 神奈川大学, 理学部, 教授 (90134410)
伊藤 竜一 琉球大学, 理学部, 准教授 (50322681)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 色素体 / 葉緑体 / シロイヌナズナ |
Outline of Annual Research Achievements |
FtsZはバクテリアから植物色素体に至るまで進化的に保存された分裂因子である。一般にバクテリアのftsZ変異体は増殖不能により死に至るが、植物の色素体FtsZ欠損変異体は何らかの機構によってそれを乗り越え、色素体は殆どの体細胞に分配される。本年度は、昨年度着手したシロイヌナズナ表皮色素体可視化系統の作出・解析と共に、ftsZ変異体における珠皮原色素体の表現型解析を進めることを目標とした。まずPDF1プロモーター制御下で色素体局在性GFPを安定発現する野生型(WT)およびftsZ変異型の形質転換体選抜を進めた。その結果、WT背景では4系統、ftsZ型では5系統が得られた。これらのロゼット葉と成熟胚珠を観察すると表皮色素体にGFPの特異的蓄積が見られた。以上より取得した系統が本課題の解析に有効であることが示唆された。続いてWTとftsZ変異体の珠皮原色素体の解析を試みた。昨年度まで利用したカリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーターによる色素体可視化系統では原色素体は胚珠の様々な組織層から検出されたが、PDF1プロモーターによる系統では珠皮の原色素体が効率的に検出された。後者を用いて胚珠発生を遡ってWTの原色素体を観察したところ、発生を通じ珠皮細胞内の色素体数はほぼ一定であることが分かった。同様にftsZの珠皮原色素体を観察したところ、多くの原色素体はストロミュールの活性化を示し、珠皮アミロプラストと類似の表現型を示した。一方、細胞分裂における原色素体の経時観察は、珠皮では技術的に困難であった。しかしながらPDF1プロモーターによる色素体可視化系統を組織広範に観察したところ、側根や胚で細胞分裂期の色素体を効率よく検出できることが分かった。さらにACT1プロモーターを用いれば花粉色素体の増殖状況も追跡可能と分かった。これらは当初の計画を越え、課題の達成に有望であると判明した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度も形質転換シロイヌナズナ系統の作出と解析で進展が見られた。一方、研究計画のうち胚珠培養法とそれに基づく色素体ライブ観察は実験の難度が高く達成できなかった。しかしながら、本年度作出したシロイヌナズナ系統は計画段階で予定していた解析対象の組織を越えて様々な生体組織の観察に有用であることが判明した。以上を総合的に見ると、全体としてはわずかに遅れが生じていると判断された。
|
Strategy for Future Research Activity |
一部の実験計画で遅れが生じたものの、一部では予期していなかった展開が生まれた。今後は後者に重点を移して実験を進めることで、本課題の目的は十分達成可能であると考えられる。最終年度は研究計画で掲げた解析対象の組織を拡張して実験を進める予定である。
|
Causes of Carryover |
当初の予定より研究進捗状況に変更が生じた。そのため研究費使用額が当初の見込みより少なくなった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究計画に変更が生じたことと次年度が最終年度であることを考慮し、次年度の研究費は本年度未使用額と合わせて使用する予定である。
|
Research Products
(9 results)