2014 Fiscal Year Research-status Report
ハブ毒ホスホリパーゼA2アイソザイムの構造活性相関と遺伝子発現制御の包括的研究
Project/Area Number |
25450139
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
上田 直子(小田直子) 崇城大学, 薬学部, 教授 (70211828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 仁美 崇城大学, 薬学部, 助手 (60510691)
大栗 誉敏 崇城大学, 薬学部, 准教授 (70346807)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ホスホリパーゼA2 / 蛇毒 / 転写調節 |
Outline of Annual Research Achievements |
ハブ毒中の主要な成分であるホスホリパーゼA2(PLA2)に注目して、構造活性相関および遺伝子発現制御機構を解明することが、本研究の目的である。昨年度、幼蛇毒特異的に発現するPLA2アイソザイムが、どうして幼蛇のみで発現し、成蛇毒に発現していないのか、このアイソザイムの生理機能を明らかとするため、このアイソザイムの発現系の構築を試み、大腸菌と酵母双方の発現系を構築した。本年度は、後者の酵母の発現系にて発現した幼蛇特異的PLA2を大量調製して精製し、その生理機能を明らかにする予定であった。これまでに、同じ毒腺で発現している同様な構造を有していると思われるPLA2アイソザイムの精製は問題なく行ってきたが、本酵素については、等電点など考慮して精製を行っても、予想外の結果となり、難航している(試行錯誤の末、なんとかストラテジーは確立できつつある)。遺伝子発現制御機構については、本年度は、毒成分遺伝子の発現に必須であると期待される転写因子について、その分子生物学的解析を行い、論文にまとめ発表した。この転写因子は、幼蛇および成蛇毒双方に発現するPLA2アイソザイムの近位プロモーター配列には結合するものの、偽遺伝子と考えられるPLA2アイソザイムの近位プロモーターには結合せず、この転写因子が両者の発現に関与する可能性が高いことを明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
課題の前半の内容について:当初の予想以上に幼蛇毒ホスホリパーゼA2の発現系の構築が難航している。これまでも我々はPLA2アイソザイムの精製は何度も行いノウハウはあるのだが、このアイソザイムの精製については、予想とは異なる結果を示し、難航している。特殊な立体構造を有しているのかもしれない。 一方、課題後半のPLA2の発現制御機構については、予期していない興味深い結果を得ることができつつあり、概ね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
幼蛇毒特異的な発現タンパク質の精製に苦労しているが、試行錯誤の末、なんとか精製できるものと期待している。精製後、大量調製できたら、その毒性など調べていきたい。 毒遺伝子の発現制御については、興味深い結果を得ており、現在、別途推進中のハブゲノム解読情報を活用して、PLA2アイソザイムクラスターの長い配列情報を得ることができると期待される。それらのデータを活用し、毒PLA2遺伝子の発現制御機構をよりワイドに考察していく。
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Causes of Carryover |
一部研究の進行に遅れがあったため、消耗品などの購入に変更があったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度遅れの生じている課題について、消耗品などに使用の予定、また本年度は、国際毒素学会のworld congressが開催されており、発表の予定であり、旅費にも使用する予定である。
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Research Products
(10 results)