2015 Fiscal Year Research-status Report
ハブ毒ホスホリパーゼA2アイソザイムの構造活性相関と遺伝子発現制御の包括的研究
Project/Area Number |
25450139
|
Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
上田 直子 (小田直子) 崇城大学, 薬学部, 教授 (70211828)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 仁美 崇城大学, 薬学部, 助教 (60510691)
大栗 誉敏 崇城大学, 薬学部, 准教授 (70346807)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 蛇毒 / ホスホリパーゼ / 発現制御機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ハブ毒の主要な成分であるホスホリパーゼA2(PLA2)アイソザイムの構造活性相関および遺伝子発現制御機構を解明することを目的としている。 前者については、これまでに幼蛇(3歳未満)と成蛇(3歳以上)の毒組成を比較して、幼蛇特異的に顕著に発現するアイソザイムを見出した。幼蛇毒に特異的に発現する理由の解明のため、まずは、何か他のアイソザイムにはない独自の活性を有しているのではないかと推測より、酵母による発現系の構築を行うこととした。予想以上に発現、精製が難航したが、原因の一つは、このアイソザイムの疎水性の強い領域に基づく多量化によるものではないかと考えた。精製の過程でSDS-PAGEで複数観察されたバンドは、アミノ酸配列解析の結果、単一の成分からなっていることが判明した。今後、この試料を用いて生理機能のスクリーニングを行う。 後者の遺伝子発現制御機構については、組織特異性と成長過程による発現制御の2つの観点で行った。組織特異性については、PLA2はユビキタスなタンパク質であり、膵臓でも膵臓型PLA2が発現しているが、毒型PLA2は毒腺のみに発現している。毒成分が毒腺組織特異的に発現する分子機構を明らかとすることを目的とした。これまでに、毒腺特異的転写因子の候補(ESE-3))が直接関与する可能性を示唆し論文発表し、26年度は国際毒素学会(IST)の世界会議で口頭発表に採択され発表した。成長過程による発現制御については、当初は幼蛇と成蛇の食性の違いに着目し、食性と毒成分の関連を明らかにすることを目的としたが、幼蛇特異的なホスホリパーゼA2が加齢とともにどのように発現制御しているかを調べたところ、0歳、1歳と年齢が増えるにつれて減少し、2歳でほぼ発現抑制されていることから成長過程との関連の可能性が考えられ新たな展開へと進展することとなった。どのような制御機構が関与しているのかを考察している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
課題の前半部は、これまでに発現系の構築が予想以上に難航し(特に精製の過程)、その要因の解明に時間を要した。 後半の課題については、上記のように当初とは異なる意外な結果となり、新たな展開とへと発展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
前半部の課題については、これまで発現、精製に時間を要していたが、単一成分からなる試料を調製できていることが判明したため、生理活性のスクリーニングを行い、幼蛇毒特異的に発現する酵素の意義を考察する。 後半の発現制御については、幼蛇毒特異的に発現する酵素の発現制御に関する仮説(エピジェネティック制御)をたてており、その可能性を探る。
|
Causes of Carryover |
研究に関わる物品費は、公費や他の研究費で支払ったため、未使用となった。主な使途は、国際学会、国内シンポジウムでの研究成果発表に用いたため、使用額に変更が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度も、昨年度同様、国際学会、国内シンポジウムでの研究成果発表、およびホームページ作成など 本研究課題の成果発表に関わるものに使用する予定である。
|
Research Products
(11 results)
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] Epithelium specific ETS transcription factor, ESE-3, of Protobothrops flavoviridis snake venom gland transactivates the promoters of venom phospholipase A2 isozyme genes.2015
Author(s)
Nakamura H., Murakami T., Hattori S., Sakaki Y., Ohkuri, T., Chijiwa T., Ohno M., Oda-Ueda N.
Organizer
The 18th world congress of the International Society on Toxinology
Place of Presentation
University of Oxford, Oxford, UK
Year and Date
2015-09-25 – 2015-09-30
Int'l Joint Research
-
-
-
-