2013 Fiscal Year Research-status Report
薬剤耐性菌を標的とした天然由来新規抗菌物質に関する合成と構造解析
Project/Area Number |
25450147
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石神 健 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (70292787)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 抗菌物質 / 絶対立体配置 / 有機合成 / Glabramycin / Majusculoic acid |
Research Abstract |
薬剤耐性等の問題から、感染症に有効な新たな抗菌物質の探索は依然必要であるが、新規薬剤となり得る興味深い活性を有しながら、絶対立体配置を含めた真の構造が決定されていない天然生物活性物質は多い。今回、顕著な活性を有しながら構造が未解明である天然抗菌物質に着目し、薬剤耐性ピロリ菌に対し抗菌活性を有すセスキテルペン、 黄色ブドウ球菌に対する抗菌物質Glabramycin 類、抗真菌活性を有するMajusculoic acid の3種の化合物群について、有機合成による構造決定を目指して合成研究を行った。 1.薬剤耐性ピロリ菌に対し抗菌活性を有すセスキテルペン:これまでにタンデムラジカル環化を鍵反応としたラセミ体合成に成功している。光学活性体合成への応用を前に、各段階の収率改善と詳細なデータ解析を中心に検討を重ねた。現在ラセミ体合成の論文投稿と光学活性体合成の準備中である。 2.黄色ブドウ球菌に対する抗菌物質Glabramycin 類:以前当研究室で合成を達成したSch642305の合成法を応用し、Glabramycin Bの合成研究を遂行したが、現在までに三環性骨格の構築を達成した。中間体の比較などにより、我々の推定した立体化学が正しいことが示唆されている。現在不安定なトリエン側鎖の導入の検討と最終物の簡便な精製方法などを検討中である。 3.抗真菌活性を有するMajusculoic acid:これまでに開発した高光学純度のシクロプロパン環キラルビルディングブロックを用いて、立体選択的なジエン部分の導入に重点を置き検討を行った。HWE反応を用いて立体選択的な臭化ジエン部分の構築に成功するとともに目的物の全合成も達成し、天然物の立体化学を推定するに至った。しかし合成品の光学純度など精査が必要な点が残っており、各工程の追試と鏡像体合成を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3種の化合物群について、有機合成による構造決定を目指して合成研究を行い、いずれの化合物に関しても最終物もしくは重要骨格の構築に成功している。特に、最も困難が予想されたGlabramycin 類に関しては、光学活性体での骨格構築に成功した点、我々の推定立体構造の正当性を示唆できた点は大きな成果である。Majusculoic acidに関しても、今回合成した化合物は光学純度の検定が不十分である点や天然物の鏡像体である可能性など問題点を残しているものの、簡便に調製できるキラルビルディングブロックを用いた合成法自体はほぼ確立され、他の化合物への応用への可能性を示すことが出来た。 以上のことから、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は3種の化合物群について以下の様に研究を推進する予定である。 1.薬剤耐性ピロリ菌に対し抗菌活性を有すセスキテルペン:ラセミ体合成で得られた知見に基づき、中間体の光学分割による光学活性体合成を目指す。光学分割した化合物の立体化学はVCD法などにより確認でき、天然物の立体化学の解明を行えるものと考える。 2.黄色ブドウ球菌に対する抗菌物質Glabramycin 類:既に光学活性体での三環性骨格の構築に成功しているので、トリエン側鎖の効率的な導入など最終段階の検討を中心に行う。特に最終物の異性化などが予想されるため、精製法も含めた検討が必要と予想している。また、20位のメチル基に関するジアステレオマーも合成し、全ての立体化学の解明を目指す。 3.抗真菌活性を有するMajusculoic acid:今回合成した化合物の光学純度の再検定と各工程の最適化を検討し、天然物の立体化学を確実に決定する。鏡像体合成も合わせて行い、最終物に大類-赤坂法を適用することにより、より確実な立体化学の決定と光学純度の決定が出来るものと考える。
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Research Products
(7 results)