2015 Fiscal Year Research-status Report
トリテルペン環化酵素の活性評価及び基質アナログによる触媒・基質認識機構の解明
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25450150
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
星野 力 新潟大学, 自然科学系, 教授 (20102709)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | トリテルペン / βアミリン / オキシドスクアレン / 部位特異的変異実験 / 基質アナログ / 酵素反応 / ホペン |
Outline of Annual Research Achievements |
すでに酵素精製法の確立(FEBS J, 280, 1267-1280, 2013)及びF728, F474の機能解析を論文として報告した(Chem.-Eur. J, 19, 17150-17158, 2013; Org. Biomol. Chem.,12, 3836-3846, 2014)で報告した。昨年度で学会発表したY259及びW257残基の機能解析を更に検証し、論文作成の段階に来た。現在論文作成中である。また、立体サイズが重要なL734やM729残基もデータの精密化をおこなっており、論文作成、投稿へと進める。また、V483残基の機能解析も予備的だったが、詳細な機能解明に成功した。単環性のachilleol AやCammeliol CがV483Aの変異株で多く生成した。 環化反応に重要な構造単位を追求する実験も進んでいる。特にMe-26の欠損基質は、かなり環化率が低下したが、βーアミリン骨格を生成した。また、末端二重結合(C-23位)をエチル基、プロピル基と立体サイズを大きくしたときの環化反応生成物の構造も決定できた。Z-配向にアルキル基がない(H置換体)と環化反応がほとんど進行しないことも新たに見出した。更に基質の末端メチル基がCH2OHに置換したアナログから興味深い結果を得た。(E-CH2OH、Z-Me)アナログからは、オレアニルカチオンがトラップされた新規化合物が生成すること、一方(Z-CH2OH、E-Me)アナログからは、ダンマレニル及びバッカレニルカチオンがトラップされたエーテル系化合物が生成した。この事実は、基質の23Z-Meと酵素との間の疎水性結合が正常なコンフォメイション(chair/chair/chair/boat/ boat)形成に重要な役割を担っていることを示しており、有機化学的な手法で基質との相互作用に新たな知見を加えることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
多くのアミノ酸の部位特異的変異株を作成し、それぞれの酵素活性を見積もり、また変異株から生成するトリテルペンの単離・構造決定により、そのアミノ酸の局在部位の同定に成功しており、論文の作成が待たれる状態となった。 また、基質アナログ実験で、23位のE-配向とZ-配向のMe基の役割をノル体との比較検討し、Z-配向のMe基が欠損すると正常なフォールデングがとれないことが判明した。これらの成果をヨーロッパ連合化学会が刊行しているChemistry-A Europian Journal (IF=5.8)で採択され、論文の質が上位10%以内と評価されHot Paperに選定された。現在、数多くの研究成果が得られており、論文作成のみが残されている状態となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は研究の集大成となる。論文作成に集中して、4報は作成したい。論文作成中には不備な点がでてくるので、その補完実験をおこなう予定である。なお、生理活性や甘味料として世界で広く利用されている物質グリチルレチン酸を化学ー酵素法で合成することを目標として実験を進める。すでに基質アナログの合成は最終段階に近い。成功するかどうかは、現在の段階では推測の域をでない。 最終年度として、投稿論文作成に集中したい。
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Causes of Carryover |
次年度の学会発表と論文投稿料(英文校閲を含む)に当てるため。また、論文作成のための補完実験費用にも当てる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度4報の論文作成の題材がある。目標を達成するために、英文校閲費が大幅にかかると想定している。また、世界的に需要の高いグリチル酸の化学酵素法を達成するための実験費にも当てる。更には、香料・テルペンおよび精油化学に関する討論会、国際学会International symposium on natural products for the future 2016での参加発表も考えている。
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Remarks |
Further Insight into Polycyclization Cascade of Acyclic Geranylfarnesol by Squalene-hopene Cyclase from A. acidocaldarius. Cheng J, Nakano C, Shi GL, Hoshino T., Nat Prod Commun. 2016,11(2):163-7.で発表。
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