2014 Fiscal Year Research-status Report
ハマナス花弁由来加水分解性タンニンによるアレルギー抑制機序の解明
Project/Area Number |
25450160
|
Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
新井 博文 北見工業大学, 工学部, 准教授 (70295848)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 耕路 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (60158186)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | アレルギー / ポリフェノール / タンニン / テリマグランジン / ヒスタミン / ロイコトリエン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ハマナス花弁由来加水分解性タンニンのアレルギー抑制作用をマスト細胞を用いたin vitro実験で明らかにすることである。平成25年度の成果において、ハマナス花弁由来加水分解性タンニンがI型アレルギー反応の原因となるマスト細胞からのケミカルメディエーター(ヒスタミンおよびロイコトリエン)放出を抑制することが明らかとなった。平成26年度は、ハマナス花弁由来加水分解性タンニンのうちケミカルメディエーター抑制活性の強かったテリマグランジンIに絞り、その作用機序を調べた。 1)シグナル伝達物質のリン酸化反応に対する効果 ラット好塩基球白血病細胞株(RBL-2H3)を抗原抗体反応により刺激し、細胞中のシグナル伝達物質のリン酸化の状態をSDS-PAGEおよびウエスタンブロッティングで調べた。テリマグランジンIは、Lyn、Sykのリン酸化を抑制しなかったが、PLC-γおよびERKのリン酸化を抑制した。 2)細胞内カルシウムイオンに対する効果 シグナル伝達の下流には、セカンドメッセンジャーとしてカルシウムイオンの上昇が位置する。蛍光プローブを用いて細胞内カルシウムイオン濃度の変化を調べた。RBL-2H3を抗原抗体反応により刺激したところ、対照ではカルシウムイオン濃度の上昇が認められたが、テリマグランジンIの存在下では抑制された。 以上の結果より、テリマグランジンIのケミカルメディエーター放出抑制効果は、シグナル伝達およびそれに続くカルシウムイオン濃度上昇の阻害によるものであることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の目標は、ハマナス花弁由来加水分解性タンニンの1)マスト細胞シグナル伝達物質のリン酸化反応に対する効果および2)細胞内カルシウムイオンに対する効果を調べることであり、おおむね達成された。
|
Strategy for Future Research Activity |
テリマグランジンIによるマスト細胞からのケミカルメディエーター放出抑制効果の作用機序をさらに調べる。まず、テリマグランジンIのマスト細胞への結合性を表面プラズモン共鳴法によって調べる。また、リポキシゲナーゼ阻害効果についても明らかにする。
|
Causes of Carryover |
ウエスタンブロッティングにおける抗体の使用方法を工夫して節約したこと、学会発表を27年度に持ち越したことによる。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度における研究発表の旅費に充てる予定である。また、27年度に使用予定である表面プラズモン共鳴解析装置(現有)のメンテナンスおよびプローブ購入に充てる予定である。
|