2015 Fiscal Year Annual Research Report
食品イソチオシアネート化合物によるインスリン様活性の発現機序の解析
Project/Area Number |
25450161
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
伊藤 芳明 岩手大学, 農学部, 准教授 (50312517)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 食品機能 / イソチオシアネート / インスリン / 糖新生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は糖尿病態緩和効果を見出しているアブラナ科野菜等に含まれるイソチオシアネート化合物の1つphenethyl isothiocyanate (PEITC) のインスリン様活性の作用機序の解明を目的としている。本研究では、大きく次の2つの項目について検討を行い下記の成果を得た。 1.PEITCで誘導されるシグナル分子とインスリン作用との対応 PEITCの糖新生抑制作用(インスリン様作用)発現に関して、ラット肝臓細胞H4IIEを用いた解析から種々のシグナル分子の活性化を誘導することが明らかとなった。インスリン様活性発現は、AktやERKの活性化を介し、JNKやp38MAPKの活性化は抑制的な効果を与えていることが明らかとなった。さらにインスリン様活性が確認されている他のイソチオシアネート化合物である6-methylsulfinylhexyl isothiocyanate等ではERKなどの活性化に共通性は見られたが、作用は必ずしもERKに依存していることは認められず、他のシグナル系の関与の可能性が考えられた。 2.PEITCで誘導されるリン酸化タンパク質について PEITC刺激によりリン酸化応答が見られる180kDa付近のタンパク質について、抗体を用いた検討からEGF receptor family分子の1つであることが明らかとなった。その分子のPEITCのインスリン様活性発現へ関与について、当該分子の阻害剤を用いた検討の結果、PEITCによるAktの活性を制御しているがERKの活性化への寄与は部分的であることが分かった。したがって、当該分子の阻害ではPEITCの作用は完全には止められないがPEITCの作用伝達の一部を担っていることが分かった。 以上の成果は、日常の摂取機会の多い食材の健康有用性に関する分子的基礎を与える重要な知見である。
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Research Products
(6 results)