2015 Fiscal Year Annual Research Report
次世代の生活習慣病予防を目指した妊娠期の糖質栄養状態の制御に関する研究
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25450162
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
平井 静 千葉大学, 園芸学研究科, 助教 (90432343)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 妊娠期低栄養 / 糖質制限 / うつ・不安様行動 / 精神疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの我々の研究により、マウスの妊娠期における40%の糖質摂取制限は、たんぱく質などを含むすべての栄養成分の制限とは異なり、出生仔において脂質代謝の増悪化は誘発せず逆に糖代謝は改善傾向を示すといった正の影響のみが観察されていた。しかしながら、成人における糖質制限食の摂取が脳においてセロトン分泌を抑制することや、げっ歯類の妊娠期における総エネルギーおよびたんぱく質摂取の欠乏が出生仔においてうつ・不安様行動を誘発することが報告されていることから、妊娠期における糖質制限も後者の報告のような精神疾患の発症と関連する可能性が考えられた。そこで本研究では、糖質制限下で出生した仔マウスにうつ・不安様行動を評価する行動実験(オープンフィールド試験、高架式十字迷路試験、強制水泳試験)を実施するとともに、ストレス耐性の生化学的な評価として、拘束ストレス負荷後の血中コルチコステロン濃度の測定を行った。 その結果、高架式十字迷路試験では群間で差は観察されなかったものの、オープンフィールド試験では、総エネルギー制限下で出生した仔マウス(Restriction : R群)でcenter area滞在時間の有意な減少が認められた一方で、糖質制限下で出生した仔マウス(Carbohydrate restriction:CHR群)では対照群と比較して減少傾向が認められた程度であった。また拘束ストレス負荷後の血中コルチコステロンレベルは、オスに比べてメスの方が高値を示し、メスの場合、R群はピークに達する時間が対照群よりも早かったが、CHR群では対照群と同程度であった。以上の結果より、総エネルギー制限下で出生した仔マウスはストレス感受性が高く不安様行動を示すのに対して、糖質制限下で出生した仔マウスではその傾向が緩和されていることが示唆された。
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