食品機能性成分の動脈硬化症予防作用と、ライブイメージングによる作用点の解析

2015 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 25450165
• Research Institution: Ochanomizu University
• Principal Investigator: 深尾 友美 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 研究員 (20470172)
• Project Period (FY): 2013-04-01 – 2017-03-31
• Keywords: ガーリック / trisulfide

Outline of Annual Research Achievements

動脈硬化は、動脈壁における脂質の蓄積によって起こる慢性炎症性疾患であり、過剰に惹起される炎症の抑制が予防と治療に重要である。これまでに、ガーリック香気成分diallyl trisulfide (DATS)などの食品機能性成分が生体内の標的タンパク質に作用し生理活性を発現することを見出した。対角線電気泳動法を用い、標的分子の候補として４つのタンパク質を同定し、その発現量や機能変化について解析を進めた。同定した4つの内、2つは生体内防御に重要なグルタチオン (GSH)の合成と抗酸化に関するタンパク質であった。通常、細胞に高濃度で存在する還元型GSHは、生体内での化学物質を酸化型から還元型へ変換する役割を担い、細胞内のGSH含量の増加は生体異物に対して防御的に働くと考えられる。そこで細胞内総GSH量を測定した結果、DATS処理後1時間から6時間でControlに対しGSH量が増加傾向を示した。DATSはこれらのタンパク質に作用し、一時的にGSH量を増加させ、生体内防御の役割を担っていることが示唆された。DATSの処理によりGSH/GSSG比がどのように変化するか、DATSがGSHにどのように影響を与えているのか定量的解析などを行っている。DATSの標的となるその他のタンパク質については、発現量と活性、機能変化について引き続き測定を行っている。また、他の食品由来機能性成分についても同条件で検討しているが、DATSと比較して効果が弱い傾向が見られた。これについては処理条件の最適化などが必要であると考えている。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

質量分析計による測定の遅れや動物実験・生化学的解析の遅れに加え、他の研究テーマに関する論文執筆準備により研究に使える時間が当初予定より減少し、全体に時間を要しているため

Strategy for Future Research Activity

現在検討している培養細胞を用いた実験を中心に進める。動物実験については連携研究者より供与を受けたマウス組織を解析し、DATSの標的タンパク質の発現量変化などを明らかにする。DATSが培養細胞または組織においてどのような動態を示すか顕微鏡を用いたイメージング解析を行う予定である。

Causes of Carryover

質量分析計による測定の遅れや動物実験・生化学的解析の遅れなどにより時間を要し研究が遅れている。そのため当初予定より支出が少なかった。

Expenditure Plan for Carryover Budget

動物実験のためにマウス購入費や飼育費にも使用する予定だが、規模を変更する可能性がある。培養細胞実験の試薬やラベル実験試薬、顕微鏡関連試薬にも使用する予定である。