2013 Fiscal Year Research-status Report
甘味タンパク質の構造と呈味発現、苦味抑制機構の解析
Project/Area Number |
25450167
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
桝田 哲哉 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (80311744)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | taste / sweetness / bitterness / thaumatin / x-ray crystallization / atomic resolution |
Research Abstract |
① 甘味タンパク質部位特異的変異体の作製、呈味性評価ならびに高分解能構造解析 甘味発現に重要な残基K67及びR82のどのような構造が甘味発現に多大な影響を与えるのか大型放射光施設SPring8(BL26B1)において高分解能データを取得した。また、側鎖の構造をより詳細に検討するためR82L, R82H変異体の作成を行い、官能検査ならびに構造解析を行った。また顕著に甘味が増強した変異体の構造解析も進めた。酵母で発現させたリコンビナントソーマチンI,ソーマチンIIの原子分解能のデータ取得に成功した。これら詳細な構造情報により、甘味タンパク質の受容機構、甘味受容体との相互作用に大きな知見を与えることが期待できる。 ② 甘味受容体上の作用部位の同定 ソーマチンの甘味は霊長類では検知されるが齧歯類では検知できない特徴を活かし、ヒト、マウス甘味受容体のサブユニットをスワップさせた受容体や、キメラ受容体を用い、ヒトT1R3のシステインリッチドメインがソーマチンの応答に必須であることを見出した。ヒト→マウス型に点変異を施した受容体変異体を作製しソーマチンとの応答を検討した結果、システインリッチドメイン内の5つのアミノ酸残基がソーマチンの応答に影響を与えることを突き止めた。この結果から、ソーマチンの甘味発現はショ糖や合成甘味料とは異なる作用点での甘味発現機構が明らかになり、甘味受容の多様性を意義付ける重要な結果が得られた。 ③ 苦味受容体発現細胞用いた苦味抑制評価系の確立 25種類の苦味受容体のうち、6種の苦味受容体遺伝子のクローニングを行い、そのうちT2R16、T2R38の安定発現細胞の取得に成功した。またこれら安定株は特定の苦味物質特異的に応答することも確認した。このことより、ヒト官能検査に比べ「安全かつ客観的」に評価できる苦味受容体発現細胞を用いた苦味抑制評価系を構築できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
①甘味タンパク質部位特異的変異体の作製、呈味性評価ならびに高分解能構造解析 変異体の取得、呈味性評価、大型放射光施設SPring8(BL26B1)において高分解能解析、いずれも当初想定している以上の進展をみせている。特にソーマチンIIの原子分解能構造解析については国内外での学会発表、学術雑誌に投稿している。また26年度に実施予定であった、pH変化、様々な物質を用いた構造解析も着手し、期待以上のデータ取得に成功している。 ②甘味受容体上の作用部位の同定 システインリッチドメイン内の5つのアミノ酸残基がソーマチンの応答に影響を与えることを突き止めることに成功し、学会発表、学術雑誌に投稿し受理された。 ③苦味受容体発現細胞用いた苦味抑制評価系の確立 25種類の苦味受容体のうち、6種の遺伝子のクローニングを行い、そのうちT2R16、T2R38の安定発現細胞の取得に成功している。抑制効果についての検討も開始しており、想定以上のデータ取得に成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
① 甘味タンパク質部位特異的変異体の作製、呈味性評価ならびに高分解能構造解析 甘味発現に重要な残基K67及びR82各種変異体を用いて、どのような構造が甘味発現に多大な影響を与えるのかについて引き続き大型放射光施設SPring8(BL26B1)において高分解能データの取得を試みる。2014A期は既に9シフトのビームタイムを確保しており、順調に実験を遂行できるものと考えられる。顕著に甘味が増強した変異体の構造解析についても同様の手法で研究を進める。リコンビナントソーマチンI,ソーマチンIIの原子分解能の構造解析については、PDBの登録を進め、論文投稿を行う。これら詳細な構造情報により、甘味タンパク質の受容機構、甘味受容体との相互作用に大きな知見を与えることが期待できる。 ② 苦味受容体発現細胞用いた苦味抑制評価系の確立 25種類の苦味受容体のうち、6種の遺伝子のクローニングを行い、そのうちT2R16、T2R38の安定発現細胞の取得に成功した。その他の受容体について安定発現細胞株の取得を行う。既に苦味受容体発現細胞を用いた苦味抑制評価系を構築できているので、これら細胞を用いて、苦味抑制作用に係る要因を明らかにすべく研究を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
422円の試薬を単品で購入するより、むしろ纏まって購入するほうが節約であるので。 422円を加算し割引率の高い試薬を購入する。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Five amino acid residues in cysteine-rich domain of human T1R3 were involved in the response for sweet-tasting protein, thaumatin.2013
Author(s)
Masuda, T., Taguchi, W., Sano, A., Ohta, K., Kitabatake, N., and Tani, F
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Journal Title
Biochimie
Volume: 95
Pages: 1502-1505
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Structure-sweetness relationships in the sweet-tasting protein, thaumatin2014
Author(s)
Masuda, T., Sano, A., Murata, K., Ohta, K., and Tani, F
Organizer
Food Structure and Functionality Forum Symposium
Place of Presentation
Amsterdam
Year and Date
20140330-20140402
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