2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25450173
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
下山田 真 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (60235695)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | soymilk / protein / heating / two-step heating / denaturation / viscosity |
Outline of Annual Research Achievements |
豆乳を70~80℃と100℃の2つの温度で二段階加熱して調製すると、タンパク質凝集体のサイズや比率が増加することを既に示している。本年度はプログラム温調装置を用いて厳密に温度設定して豆乳の加熱調製を試み、加熱途中で5分間の温度保持を行う際の保持温度の影響について検討した。 その結果、70℃あるいは80℃で5分間保持したのちに95℃で5分間保持した豆乳では途中で温度保持を行わず95℃まで昇温後に保持した(一段階加熱)豆乳よりも粘度は高い値となり、80℃において有意であった。一方で保持温度を60℃あるいは90℃とした場合では一段階加熱した豆乳と同程度であり、二段階加熱の効果は見られなかった。タンパク質の凝集体の割合は二段階加熱によって調製した豆乳で増加したものの保持温度を60℃から90℃まで変化させても保持温度による有意な差は見られなかった。これらの結果より、二段階加熱によってタンパク質の凝集反応が進行することが分かったが、特に粘度などの値から見て二段階加熱として有効なのは70~80℃であり、β-コングリシニンの変性温度よりも高くグリシニンの変性温度よりも低い温度となった。すなわち、β-コングリシニンとグリシニンの熱変性のタイミングのずれが重要であることが示された。また70、80℃で二段階加熱した豆乳ではMg2+を添加した際のpH挙動が一段階加熱した豆乳とは異なっており、より高いpHから沈殿形成がみられた。この結果から70、80℃での二段階加熱が変性タンパク質の表面荷電の分布に対しても影響しているものと考えられた。
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