2013 Fiscal Year Research-status Report
| Project/Area Number |
25450174
|
|---|
| Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
| Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
|---|
Principal Investigator |
中山 勉 日本獣医生命科学大学, 応用生命科学部, 教授 (50150199)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 剛志 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (50448700)
奈良井 朝子 日本獣医生命科学大学, 応用生命科学部, 講師 (00339475)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
| Keywords | クーロアレイ検出器 / カテキン類 / テアフラビン類 / HPLC / 酸化還元電位 / 電気化学 / 抗酸化性 / ポリフェノール |
|---|
| Research Abstract |
本研究は、紅茶の赤色色素であるテアフラビン類の生理機能を開発するため、その物理化学的性質を解析することを目的とした。申請時の研究計画として、１．QCMを用いた、リン脂質に対するテアフラビン類の結合定数や結合速度定数の測定、2.MPCコートプレートを用いた、テアフラビン類のリン脂質への吸着量の測定、３．理論計算ソフトを用いた、リン脂質膜内におけるテアフラビン類の位置分布の理論的予測、４．クーロアレイ検出器を備えたHPLCによる、テアフラビン類の酸化還元電位の測定、５．テアフラビン類の酸化過程で生成する過酸化水素の高感度・選択的定量を順不同で予定していた。
たまたま、本研究の採択通知が申請者（代表研究者）の異動直後にあった。そこで、異動先においてもすぐ研究できる内容として、上記のテーマのうち[４]と[５]から始めたところ、茶ポリフェノール研究に大きな貢献ができる見通しが得られたため、そこに集中して研究を継続した。以下はその実績の概略である。
(1) クーロアレイ検出器を備えたHPLCによるカテキン類とテアフラビン類の酸化還元電位の評価はいままでも行われていたが、構造活性相関を解明する報告はなかった。我々は、横軸に電位 (V)、縦軸に電気量 (Q)をプロットする QP プロット法を提唱し、QPプロットのピーク電位から各物質の酸化還元電位を評価するプロトコールを開発した。
(2) QPプロット法における電極電位の間隔を50 mV以下に縮めることにより、QPプロットのピーク電位が各物質の化学構造の違いを反映できることを見出した。
(3) 以上の結果は、カテキン類とテアフラビン類に例外なく共通しており、酸化還元電位における構造活性相関を明らかにすることに成功した。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で述べたように、申請時の５つの研究テーマのうち、実行したのは２つである。しかしこれらの研究の過程で、クーロアレイ検出器を備えたHPLCによるカテキン類とテアフラビン類の酸化還元電位の評価法を確立し、両物質群の酸化還元電位における構造活性相関を明らかにすることに成功した。この結果は、学会で発表し、原著論文として投稿したところ、最近、受理された。したがって、本研究の意義が公に認められたと考えている。
|
| Strategy for Future Research Activity |
今後も、昨年度行った研究を重点的に発展させる予定である。カテキン類とテアフラビン類の抗酸化性はいろいろな方法で評価されているが、明確に酸化還元電位との関係を明らかにした報告はほとんど見当たらない。そこで、本研究で明らかになった構造活性相関を様々な論文のそれらと比較検討する予定である。もし、一致する報告がない場合は、いままでの方法の問題点を明らかにし、新しい分析条件あるいはプロトコールを確立することを目指す。またin vivo研究の結果を物理化学的に説明できること目標とする。
|
| Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度において、たまたま、本研究の採択通知が申請者（代表研究者）の静岡県立大学から日本獣医生命科学大学への異動の直後にあった。そこで、異動先においてすぐに研究を開始するため、申請した研究項目のうち、クーロアレイ検出器を備えたHPLCを用いて、カテキン類とテアフラビン類の酸化還元電位における構造活性相関を調べることにした。その過程で、新しい方法を開発することができ、構造活性相関を明らかにすることに成功した。一方、申請時に設備・備品費として記載した「熱力学物性推算ソフトウエア」の必要度は低くなり、平成２５年度内の購入はとりやめた。
今年度中に原著論文を発表できる見通しが立っている。また、９月に開催される国際学会においては、この原著論文の研究内容を発展した形で発表する予定である。この方針の重要性に鑑み、平成２６年度と２７年度においても、クーロアレイ検出器を備えたHPLCを用いて、カテキン類とテアフラビン類の酸化還元電位における構造活性相関を調べることに重点を置きたい。そのためには、HPLC関連の備品（検出器、ポンプ）や消耗品（電極やカラム）に予算をあてることを計画している。
|
