2015 Fiscal Year Annual Research Report
機能性抗酸化因子と多価不飽和脂肪酸との相互作用による脂質代謝制御
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25450177
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Research Institution | Jumonji University |
Principal Investigator |
井手 隆 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 教授 (20127971)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脂肪酸代謝 / 脂肪酸合成 / 脂肪酸酸化 / α-リポ酸 / α-リノレン酸 / 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はα-リノレン酸に富むエゴマ油とα-リポ酸の組み合わせが肝臓の脂肪酸代謝と酸化ストレスマーカーに与える影響を調べた。ラットを6群に分け15%のパーム油、コーン油あるいはエゴマ油を含むα-リポ酸無添加あるいは添加(0.2%)食を3週間与えた。肝臓脂肪酸合成系酵素の活性とmRNA量はパーム油群と比較し、コーン油とエゴマ油群で低下した。コーン油とエゴマ油群間では差はなかった。α-リポ酸は各油脂群で値を低下させた。エゴマ油は他の油脂と比較し多くの脂肪酸酸化系酵素の活性とmRNA量を増加させた。α-リポ酸は脂肪酸酸化系に大きな影響を与えなかった。また、酸化ストレスマーカーであるマロンジアルデヒドの血清濃度はエゴマ油で増加したが、α-リポ酸により低下した。肝臓でも不明確ながらα-リポ酸の同様な効果がみられた。α-リポ酸はグルタミン酸-システインリガーゼ(グルタチオン合成の律速酵素)およびグルタチオン還元酵素の活性とmRNA量およびメタロチオネインなど活性酸素除去機能を持つタンパク質のmRNA量を増加させた。エゴマ油とα-リポ酸は血清のトリアシルグリセロール濃度を相加的に低下させた。α-リポ酸無添加食群で、エゴマ油は血清のコレステロール(Chol)とリン脂質(PL)濃度も低下させた。α-リポ酸によるCholとPL濃度低下はパーム油とコーン油群では認められたが、エゴマ油群では認められなくなった。このようなCholとPL濃度変化はVLDL・LDL画分での変化によるものであった。以上の結果を含め、全研究期間にわたって機能性抗酸化因子と多価不飽和脂肪酸の組み合わせ摂取は脂質代謝改善に極めて有効であることを示した。さらに、機能性抗酸化因子は多価不飽和脂肪酸による酸化ストレスを抑制するので、両者の併用は安全かつ機能性が増強された機能性食品素材を提供すると結論された。
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