2015 Fiscal Year Research-status Report
トレハロースの新たな水和特性とタンパク質凝集抑制メカニズム
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25450188
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
奥 和之 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (40549797)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | トレハロース / タンパク質凝集抑制 / βアミロイドタンパク / 生体間相互作用解析装置 / 核磁気共鳴分析法 / 老化促進マウス(SAM/P1) |
Outline of Annual Research Achievements |
トレハロースのタンパク質凝集抑制効果の解明のため、モデルペプチドとしてアルツハイマー原因ペプチドであるβアミロイドタンパク40(Aβ40)を用いて、生体間相互作用解析装置Biacoreを使用して解析した。その結果、トレハロースはAβ40の凝集を強く抑制した。また、Kinetics解析より、トレハロースによるAβ40凝集の阻害様式は拮抗阻害型であること、阻害係数Kiはトレハロース0.81mM(0.02%)となった。また、トレハロースとAβ40混合液のNMR解析(NOESY)の結果、トレハロース1位および2位プロトンとAβ40プロトン間に明確なNOEが観測され、トレハロースはβ—アミロイドと直接作用してその凝集を抑制することがわかった。作用部位の決定を予定している。 次にアルツハイマー型モデルである老化促進マウス(SAM/P1)を用いて、トレハロース摂取の影響を調べた。トレハロース5%水溶液の2か月連続飲水投与により、脳萎縮が抑制された。現在、大脳切片のAβ免疫染色と脳ホモジネート中のAβ含量とトレハロース含量を測定中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
モデルペプチドを用いた作用解析では、当初QCM法による凝集抑制作用について検討していたが、装置の初期化が難しくバラツキが大きいため、より正確に測定でき解析も容易にできるBiacoreに変更したため、その条件設定に時間がかかった。 また、研究実施機関が平成27年4月1日より大阪青山大学から川崎医療福祉大学に変更したため、環境整備や研究遂行に時間を要したため。さらに実験装置NMRによる解析が平成27年度内に行えなかったため、平成28年度に実施し成果発表(学会発表、論文化)する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
トレハロースと芳香族アミノ酸およびモデルペプチド(Aβ40)との相互作用について、NMR法による解析および計算シミュレーション(分子動力学シミュレーション)による解析を継続して行う。研究成果を平成28年6月に開催される低温生物工学会(埼玉)にて口頭発表するとともにCryobiologyに投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
研究実施機関が平成27年4月1日より大阪青山大学から川崎医療福祉大学に変更したため、環境整備や研究遂行に時間を要したため。さらに実験装置NMRによる解析が平成27年度内に行えなかったため、平成28年度に実施し成果発表(学会発表、論文化)する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
NMR解析費用として(岡山大学に測定依頼、約300千円)、学会参加、東工大櫻井教授との打ち合わせのための旅費、論文作成など(約280千円)
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