2014 Fiscal Year Research-status Report
食品の高機能化を目指した澱粉の酵素分解性制御技術に関する研究
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25450195
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
佐々木 朋子 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所食品工学研究領域, 主任研究員 (10353939)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 澱粉 / 酵素分解性 / 非澱粉性多糖類 |
Outline of Annual Research Achievements |
今までの成果から、馬鈴薯糊化澱粉の酵素分解性を抑制する多糖類が明らかになったため、ラットを用いた澱粉負荷試験を行い、食後血糖値上昇抑制効果を検証した。その結果、馬鈴薯糊化澱粉の酵素分解性に対して高い抑制効果を示したキサンタンガムを馬鈴薯糊化澱粉に添加した試料群は対照群と比較して、投与30分後の血糖値を有意に下げるが、60分以降では効果が見られないため、キサンタンガムの澱粉酵素分解性に対する抑制効果は澱粉摂取直後の血糖値上昇にのみ関与していることが示唆された。また、馬鈴薯澱粉の糊化時の粘度変化を測定した結果、馬鈴薯澱粉に各種多糖類を添加すると粘度上昇効果が認められるが、キサンタンガムの効果は極めて高く、澱粉糊化時のピーク粘度と澱粉の酵素分解率との間に有意な相関性が認められたため、多糖類の粘度上昇効果が酵素分解性の主な制御要因であることが推察された。 食品のマトリクス構造の中で存在する澱粉の酵素分解性の制御要因を明らかにするために、白米および玄米の炊飯米の酵素分解性と硬さを測定し、その関連性を評価した。圧縮時の応力値が高い炊飯米ほど、消化酵素によって分解された後遊離するグルコース量が低い傾向を示したが、破砕処理をした試料の澱粉分解率を測定すると、硬さとの関連性は見られなかったことから、マトリクス構造が破壊されれば、澱粉分解率に炊飯米の硬さの影響は少ないことが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
澱粉の酵素分解性を抑制する多糖類の血糖値上昇抑制効果を確認でき、さらには粘度上昇効果が主な制御要因であることを明らかにできたことから、当初の研究実施計画はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は食品のマトリクス構造改変による澱粉の酵素分解性の制御要因を明らかにするために、多糖類を添加したゲル状の試料とパンを調製し、消化酵素を作用させた時の遊離グルコースを測定するとともに、試料のテクスチャー解析を行い、マトリクス構造の強度と澱粉酵素分解性の関連性を明らかにする予定である。
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