2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25450196
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
橋本 直人 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 九州沖縄農業研究センター生産環境研究領域, 主任研究員 (20414758)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ケルセチン / シアニジン-3-グルコシド / カテキン / 胆汁 / 脂質 / ラット |
Research Abstract |
【目的・実施内容】フラボノイドが胆石形成に及ぼす影響を評価するために研究を行っている。初年度(平成25年度)はフラボノイド(ケルセチン、シアニジン-3-グルコシド(C3G)およびカテキン)、およびその代謝産物が胆汁中の脂質組成に及ぼす影響を評価する計画であった。そこで、(A) フラボノイド投与ラットにおける胆汁中のフラボノイド代謝産物の挙動を解析した。加えて、平成26年度に実施予定であった(B)胆石形成マウスモデルの作成条件も検討した。 【(A)の具体的実績】フラボノイド代謝産物のHPLCによる測定条件の確立を試みた。HPLCのクロマトグラムで見られるピークを同定するために、まず、ラットの肝臓から調製したミクロソーム画分およびS9画分を用いて各フラボノイド標準品のin vitro代謝産物を作成し、LC/MSを用いて各種フラボノイドの同定および分析条件を検討した。その結果、ケルセチンとC3Gに関する分析条件は確立できたが、カテキンについてはLC/MSの不具合が発生したために作業が遅れ、現在、分析条件を検討している。 次に、各フラボノイドの精製品をラットの小腸に投与し、経時的に胆汁を回収する実験を行った。胆汁中の各フラボノイドの総含量および脂質含量の測定まで終了し、投与したフラボノイドの種類により胆汁中に排出される脂質組成が異なることを明らかにした。この結果は、日本栄養・食糧学会において報告する。 【(B)の具体的実績】分析機器の不具合に伴いHPLCによるフラボノイド代謝産物の測定が停滞したため、その期間に胆石形成モデルマウスの作成を前倒しで検討した。結果として、0.8%コレステロール添加食をマウスに2ヶ月以上投与した場合、80%のマウスで、胆石の形成と、脂質代謝異常および肝障害の傾向が観察できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フラボノイドの分析条件の確立については、ケルセチンおよびC3Gについては確立できたが、カテキンについては現時点においても実施中であることから、遅れていると考えている。 また、胆汁成分の分析に関して、投与したフラボノイドの種類により脂質組成が変化するという新しい知見が得られたものの、予備分析期間を使いフラボノイド代謝産物を定量しているため、若干、遅れている。 一方、胆石形成マウスモデルの作成研究に関しては、3ヶ月にも及ぶ飼育条件の検討を前倒しで終了しており、時間的にかなり進展させることができたと考えられる。 以上の点を考慮すると、全体的には研究は若干の遅れが見られる程度であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
【基本実験】平成26年度は基本的には研究計画に従い、研究を推進していく。研究の遅延が見られるカテキンの分析条件は、まもなく確立できると見込んでおり、予備の研究期間である平成26年度前半に胆汁中のフラボノイドの代謝産物を測定する。それと並行して、平成26年度前半に、各種フラボノイドを添加した胆石形成飼料をマウスに与え、フラボノイドと胆石症発症の関連性を評価し、26年度の後半にかけて詳細に分析し、本年度中に論文としてまとめる予定である。 【追加実験】投与したフラボノイドの種類により胆汁中の脂質組成が異なった、という初年度に得られた結果は、新しい知見であったことから、平成26年度に再度詳細な実験を行い、現象が確認できた時点で論文として報告することを考えている。 【エフォート管理】平成25年度は機器の不具合により、一時、研究が停滞したことから研究補助員の雇用を見送ったが、その遅れを回復するためにも平成26年度は研究補助員を補充し、エフォートも50%まで増やして当研究を重点的に行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
【物品費、旅費等】比較見積もりを用いた納入業者の選定等の努力をしたことにより、当初見込まれていた金額よりも少ない経費で研究を遂行できた。 【人件費、その他】平成25年度は機器の不具合により分析が一部停滞したこともあり、研究補助員を雇用しなかったために、人件費(3ヶ月相当)を使わなかった。また、平成25年度は論文作成が年度内に終らなかったために、英文校閲費および論文投稿費を使用しなかった。 【物品費・旅費等】平成26年度に入り研究施設を異動したために研究に必要な資材が不足していることから、それらの研究資材の拡充に活用する。 【人件費、その他】人件費については、本年度は研究補助員を当初の予定よりも多い6ヶ月程度雇用することに人件費を活用し、研究の推進に努める。また、その他、現在、本事業で得られた成果を一部活用した研究成果について論文の投稿準備をしており、その際の論文投稿費等に活用する。
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