2014 Fiscal Year Research-status Report
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25450196
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
橋本 直人 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター・畑作基盤研究領域, 主任研究員 (20414758)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
韓 圭鎬 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教 (50553450)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ケルセチン / シアニジン-3-グルコシド / 胆汁排出 / 胆石症 / 脂質代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
フラボノイド摂取と胆石症発症の関連性を検討するために、実験1では胆汁でのフラボノイドの挙動を調べ、実験2では実際にフラボノイド摂取による胆石症発症抑制作用を評価した。 【実験1】平成26度は、主要なフラボノイドであるケルセチン(Q)とシアニジン-3-グルコシド(C3G)を麻酔下のラットに投与し、胆汁中に出てくる代謝物の経時的変動と胆汁中の脂質分析を行った。その結果、QおよびC3Gの代謝物の胆汁排出は投与後30分前後でピークとなることがわかった。一方、胆汁中の脂質については、フラボノイド無投与動物と比較して、コレステロール濃度がQおよびC3G投与群でそれぞれ投与後15分、60分以降で低下した。また、中性脂肪濃度はQ投与では30分目で低下したのに対し、C3Gでは30分目では上昇した。以上のことから、投与するフラボノイドの種類により胆汁中の脂質排出パターンが変動することが示唆された。 【実験2】Qおよび黒大豆種皮抽出物(BE、C3G高含有製剤)を添加した胆石形成飼料をマウスに4週間摂取させ、胆石形成におけるフラボノイドの影響を評価した。その結果、QおよびBE添加によりフラボノイド無添加胆石症群(L群)と比較して、胆のう重量が約20%低下した。また、L群で見られた胆石の発症率(発症率43%)は、BE添加食群において低下した(13%)が、Q添加食群ではわずかな低下しか見られなかった(34%)。さらに生体内の脂質代謝の状態を評価するために血中脂質も測定した。その結果、4週目の血中コレステロール濃度はQ添加食群およびBE添加食群でL群よりも高くなる傾向が見られ、4週目の血中中性脂肪に関しては、Q添加食群およびBE添加食群でL群と比較して有意に低かった。以上の結果から、フラボノイド摂取により脂質代謝が変化し、部分的には胆石症に抑制的に作用する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
胆汁中のフラボノイド代謝物の挙動と胆汁中脂質濃度の変動に関して、平成26年度中に論文として投稿する予定であったが、現在、論文作成中であるために、やや遅れているとした。 また、フラボノイド摂取と胆石形成の関連性についても平成26年度の段階で分析が一通り終了している予定であったが、まだ、分析が終了していない。ただし、動物飼育自体は終了しており、十分に挽回できる範囲であることから、やや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
動物の飼育が終了した研究については、分析が若干遅れが生じていることから、平成27年度前半は分析にエフォートを割く。 動物実験に関しては、当初の予定通り、胆石形成飼料を与えたラットから胆汁を回収し、試験管内でフラボノイド添加による胆石形成への影響を評価する予定である。 成果の公表について、今後半年を目処に1報、その後、半年でもう1報、合計2報の投稿を目指す。
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Causes of Carryover |
当初予定していなかった帯広畜産大学の参加により、実験補助員を雇用することで対応する予定であった動物飼育にかかる人件費等の経費を軽減することができた。また、試薬や消耗品購入時に比較見積もりを取ることでも、経費を削減することができた。 一方、昨年度予定していた論文作成が本年度にずれ込んだことから、論文投稿にかかる経費が使われなかった分も次年度使用する必要が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額の一部は平成26年度に消費した動物飼育にかかる飼料の補充等に使う。また、論文投稿等の情報発信に向けて経費を使う予定である。
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