2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25450196
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
橋本 直人 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門食品健康機能研究領域, 上級研究員 (20414758)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
韓 圭鎬 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (50553450)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | シアニジン-3-グルコシド / ケルセチン / 黒大豆種皮抽出物 / 胆石症 / 中性脂肪 / コレステロール / マウス / ラット |
Outline of Annual Research Achievements |
胆汁中に高濃度に排出されるフラボノイド代謝物が、胆汁およびコレステロール排出に起因する胆石形成に与える影響を評価した。 【実験1】麻酔下のラットにシアニジン-3-グルコシド(C3G)を投与し、2時間胆汁を採取したところ、胆汁への中性脂肪排出量の増加および胆汁採取後の肝臓中の中性脂肪含量の低下が見られた。肝臓のモデル細胞であるHepG細胞においても、C3Gを作用させることで細胞内の中性脂肪量が減少した。 【実験2】胆石形成マウスにおいて黒大豆種皮由来のC3G高含有色素を長期摂取した場合、通常の胆石形成マウスと比較して、胆石形成率および胆汁中へのコレステロール排出量が低くなる傾向が見られ、肝臓における胆汁へのコレステロール排出を促進するAbcg5のmRNA量の増加が抑制された。また、実験1と関連して、C3G含有食摂取動物では、中性脂肪の構成要素である脂肪酸を合成する酵素の肝臓中のmRNA量が増加する傾向が見られた。 【実験3】試験管内で代謝させたフラボノイドを塗布したプレートに胆石形成食摂取ラットから採取した胆汁を添加し、胆汁内コレステロールの結晶化試験を行ったところ、C3Gおよびケルセチンを塗布したプレートでは結晶の形成は阻害されなかったが、それぞれの代謝物を塗布したプレートでは、コレステロールの結晶化が抑制された。ただし、残余成分のによる結晶化の阻害の可能性も否定できない。 【結論】C3G投与により短期的には胆汁中の中性脂肪排出を促進させるが、長期的には脂肪酸合成酵素を補償的に誘導する可能性が考えられる。また、黒大豆種皮由来のアントシアニン画分摂取により胆汁中へのコレステロール排出が抑制され、胆石症の発症率が低くなる可能性が示唆されたが、フラボノイドの代謝物自体にもコレステロールの結晶化を抑制する可能性も示唆された。
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