2014 Fiscal Year Research-status Report
油脂・食品中のリスク懸念物質のin vitro動態に関する研究
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25450197
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Research Institution | Osaka Municipal Technical Research Institute |
Principal Investigator |
渡辺 嘉 地方独立行政法人大阪市立工業研究所, 生物・生活材料研究部, 研究主任 (60416310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
室田 佳恵子 近畿大学, 理工学部, 准教授 (40294681)
佐藤 博文 地方独立行政法人大阪市立工業研究所, 生物・生活材料研究部, 研究員 (70443546)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | MCPD / 膵リパーゼ / 小腸吸収性 / Caco-2 |
Outline of Annual Research Achievements |
初めに、2および3-MCPDジオレート、さらに、その分解生成物標品である2および3-MCPDモノオレートを新たに合成した。続いて2および3-MCPDモノオレートの位置異性体を分離するためのコロナ荷電化粒子検出器(CAD)を接続したHPLC分析系を新たに確立した。本検出器では、MCPDに結合した脂肪酸種に関わらず、感度が一定で、脂肪酸種毎の検量は必要ないことを当初期待したが、実際には、脂肪酸種毎に感度が異なるため検量が必要で、既存のLC-MS法と同等の分析方法であることを新たに確認できた。 本分析系で、ブタ膵臓リパーゼとパンクレアチンによる2および3-MCPDジオレート加水分解生成物を分析した。その結果、3-MCPDジエステルの1位アシル基が分解された3-MCPD-2オレートが蓄積していることを初めて確認することができた。一方、2-MCPDジエステルからの2-MCPDモノエステル蓄積量は相対的に少なく、遊離2-MCPDが蓄積していたことから、2-MCPDジエステルについては、2つのアシル基が分解除去され速やかに遊離MCPDに変換されると推定された。 次に、遊離MCPDの小腸での吸収性を、Caco-2細胞によるヒト小腸上皮モデルを用いてin vitro評価した。遊離MCPDは、腸管側から基底側へ経時的に移行し、2-と3-MCPD間に速度差は認められなかった。また、濃度依存性も確認されなかったことから、拡散により吸収されるものと推定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Caco-2細胞によるヒト小腸上皮モデルを用いた小腸吸収性評価には、十分なn数を確保しなければならず、また、細胞の培養期間も長いことから、試験に相当な時間を要した。また、異性体分離定量のためのHPLC-CAD分析系の確立も新たな試みであり、分離条件の決定に計画以上の時間を要した。しかしながら、研究は概ね計画通りに進展させることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画では、MCPD・グリシドール類の細胞毒性評価をCaco-2細胞を用いて行う予定であったが、平成26年度までに行ったCaco-2細胞によるヒト小腸上皮モデルを用いた一連の検討の結果、毒性は比較的低く、Caco-2細胞では想定していた結果が得られない懸念が出てきた。そこで、チャイニーズハムスター繊維芽細胞V79系を用いた毒性評価試験を行うことに変更する。
また、MCPD・グリシドール類のおよび炎症性評価を行う際、Caco-2細胞単層膜の基底側にヒト単球細胞を共培養し、炎症性サイトカイン産生によるCaco-2 細胞傷害を評価する予定であった。しかし、Caco-2細胞単層膜はバリア能が期待できず、共培養する必要性は低いことが本年度の研究から推定されるため、評価手法詳細を変更する予定である。
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Causes of Carryover |
実験計画の一部を次年度に実施するため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
培養細胞用培地、消耗品、試薬など
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[Presentation] Analysis of positional distribution of fatty acid in milk fat using a novel enzymatic method2014
Author(s)
Yomi Watanabe, Mihoko Asada, Jun Imagi, Katsuyoshi Saito, Akiko Sasaki, Ryo Sasaki, Shinichi Sato, Chiemi Sato, Takashi Sano, Tadahisa Shibuya, Toshiharu Nagai, Yuki Tsukahara, Ryuji Hori, Rika Homma, Yosuke Miyazaki, Atsushi Yamashita, Kazuaki Yoshinaga, Shimpei Watanabe
Organizer
Active Enzyme Molecule 2014
Place of Presentation
富山国際会議場(富山県富山市)
Year and Date
2014-12-18 – 2014-12-19
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