2015 Fiscal Year Research-status Report
油脂・食品中のリスク懸念物質のin vitro動態に関する研究
| Project/Area Number |
25450197
|
|---|
| Research Institution | Osaka Municipal Technical Research Institute |
|---|
Principal Investigator |
渡辺 嘉 地方独立行政法人大阪市立工業研究所, 生物・生活材料研究部, 研究員 (60416310)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
室田 佳恵子 近畿大学, 理工学部, 准教授 (40294681)
佐藤 博文 地方独立行政法人大阪市立工業研究所, 生物・生活材料研究部, 研究員 (70443546)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
| Keywords | MCPD / グリシドール / 吸収性 / 毒性 / Caco2 / V76 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
MCPD類は、蛋白質加水分解調味液の中に遊離体としてその存在が指摘され、現在市販品中の含量は工程改善により低減されているもののなお存在する微量物質である。一方、油脂中では、油脂精製の最終工程である脱臭操作により主に生じた脂肪酸エステル体が存在する。これらの食品中には、従来検出されてきた3-MCPD とは塩素結合位置の異なる異性体、2－MCPDも存在する。これまで、3-MCPDとその脂肪酸エステルエステルに着目した定量や毒性評価などが行われてきたが、2－MCPDとその脂肪酸エステルの生体内での挙動は明確ではない。そこで、2-MCPDジエステルを新たに合成し、膵臓リパーゼや膵臓分泌酵素による加水分解に供した。その結果、MCPDジエステルは、膵臓リパーゼの作用を受け、3-MCPDモノエステルまたは2-MCPD遊離体として小腸に到達すると推測された。さらに小腸上皮細胞様に分化させたCaco-2細胞を用いたin vitro評価系を用いて小腸吸収性を評価した結果、上皮細胞の分泌酵素により3-MCPDモノエステルが加水分解され3-MCPDとなることが示唆された。さらに、遊離した3-MCPDは単純拡散により腸管から吸収されること、2-MCPDの吸収挙動は3-MCPDとほとんど差がないことを見出した。また、V79細胞を用いたin vitro細胞毒性評価に2-MCPDを供したところ、その毒性は3-MCPDの約1/10であった。一方MCPDから、pHの変化によって生じるグリシドールの毒性は3-MCPDの約10倍であり、MCPDよりもグリシドール低減に注力すべきことが示唆された。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
MDPD遊離体およびそのエステル類の分解性吸収性を昨年度に引き続き検討した。十分な試験数を重ね再現性を検証して、国際科学雑誌に投稿するに至った。また、２－ＭＣＰＤの試験管内細胞毒性の報告はこれまでなく、本研究で初めて毒性評価に成功できた。一方で、公表に十分な試験数を確保するのに当初計画以上の時間を要したため、一部の試験対象を次年度に繰り越す必要が生じた。
|
| Strategy for Future Research Activity |
MCPDエステル体は、膵臓リパーゼその他の分泌酵素により分解を受け、遊離体として小腸に達することが推定された。従って、遊離体をラット胃内に投与し、ラットにおける小腸吸収性を評価する。また、これまでの研究成果の再現性を確認しつつ、国際学会及び国際科学雑誌で公表を目指す。
|
| Causes of Carryover |
今年度得られた研究成果を公表するために必要な、再現性や統計的に優位な試験数を確保するための追加研究およびそれにかかる消耗品等の購入が必須である。また国際科学雑誌投稿および国際科学学会で公表するための英文校閲料投稿料参加料旅費など諸費用が必要である。
|
| Expenditure Plan for Carryover Budget |
細胞培養試験等に必要な培養細胞、培地や実験用具等の消耗品を購入する。国際科学雑誌や学会で公表するための参加費旅費、英文校閲料投稿料なども支出予定する。
|
-
-
-
[Journal Article] Enzymatic analysis of positional fatty acid distributions in triacylglycerols by 1(3)-selective transesterification with Candida antarctica lipase B: a collaborative study2015
Author(s)
Yomi Watanabe, Shinichi Sato, Mihoko Asada, Toshiharu Arishima, Yasuhiro Iida, Jun Imagi, Katsuyoshi Saito, Takashi Sano, Akiko Sasaki, Ryo Sasaki, Chiemi Sato, Tadahisa Shibuya, Yuki Tsukahara,Toshiharu Nagai,Toru Fukazawa, Ryuji Hori, Rika Homma, Yosuke Miyazaki, Atsushi Yamashita, Kazuaki Yoshinaga, Shimpei Watanabe
-
Journal Title
J. Oleo Sci
Volume: 64
Pages: 1193-1205
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
-
-
-
-
-
[Presentation] Applicability of a novel enzymatic method to the analysis of positional FA distribution in milk fat2015
Author(s)
○Yomi Watanabe, Ryuji Hori, Yosuke Miyazaki, Toshiharu Nagai, Katsuyoshi Saito, Takashi Sano, Akiko Sasaki, Ryo Sasaki, Shinichi Sato, Chiemi Sato, Tadahisa Shibuya, Yuki Tsukahara, Atsushi Yamashita, Kazuaki Yoshinaga, Shimpei Watanabe, Rika Homma, Jun Imagi, Mihoko Asada
Organizer
106th AOCS Annual Meeting and Industry Showcases
Place of Presentation
Ｏｒｌａｎｄｏ， ＵＳＡ
Year and Date
2015-05-05
Int'l Joint Research
-
-
