2014 Fiscal Year Research-status Report
気候変動にともなう多雪地ブナ林の動態と炭素固定量の変化
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25450201
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
石田 祐宣 弘前大学, 理工学研究科, 助教 (60292140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 大雄 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (00333716)
石田 清 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (10343790)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ブナ / 気候変動 / 炭素固定 / CO2フラックス / 多雪地 / フェノロジー / 樹木成長 / 林内貯留 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目である本年度は、2008年より行っている微気象観測・土壌呼吸観測と毎木調査を継続し、加えて本課題で着目する次の項目に取り組んだ。 1. 微気象観測の高精度化: 顕熱貯熱、潜熱貯熱、樹幹貯熱の項目別に観測評価を行ったところ、顕熱貯熱、潜熱貯熱の割合が大きく日射量に依存していた。一方、樹幹貯熱は比較的小さかった。これらを評価することにより、当観測サイトの熱収支充足率は2割以上改善される見込みとなった。また、林内のCO2プロファイルを連続測定することで、CO2貯留量の評価を行った。特に着葉期においては樹冠の葉群が林内の大気安定度に強い影響を与え、日中・夜間ともに中立~弱不安定な状況が維持されるために、林内の貯留が一様に混合されることがわかった。一方、落葉期は樹冠上を遮るものが無く低温環境であることも相まって、林内のCO2貯留は小さかった。 2. 積雪分布と樹種の対応関係: ブナと競合樹種であるホオノキ、ミズナラのミニプロットの地温を連続測定し、積雪期間を検知している。ブナのミニプロットは傾斜地が多いため、他のプロットに比べ比較的早く消雪し、開葉後は地温が低く保たれる傾向にあった。またブナに関しては、積雪期間が長いと実生の生存率が低下し、積雪量が多いと開葉に要する積算温量が増加する傾向にあることがわかった。 3. 樹種ごとのフェノロジー: 1台インターバルカメラを増設し、合計2台のカメラで通年連続撮影を継続している。 4. 樹種ごとの成長量: 成長錐により、これまで取得したブナの年輪サンプルに加え、ホオノキとミズナラのサンプルを取得した。 本課題以前から継続して行ってきた微気象観測と土壌呼吸観測の結果に関しては、白神研究会、水文・水資源学会、日本農業気象学会等で、上記課題の1,2に関しては日本農業気象学会、日本生態学会、日本森林学会で研究成果の発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は一昨年度の大雪の影響により、調査項目の一部の立ち上げが遅くなっていたが、今年度はその遅れを取り戻すことができた。また、データの蓄積も順調である。調査項目のうち、微気象観測の高精度化および積雪分布と樹種の対応関係については解析も進み、学会発表することができた。総合的に見ておおむね順調に進展していると判断出来る。
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Strategy for Future Research Activity |
微気象観測、地温測定、インターバルカメラ等の連続測定は軌道に乗っているので、引き続きデータを蓄積する。毎木調査は次年度も行う。 これまでの3冬季は、積雪の多寡や消雪のタイミングの変動があったため、シーズン間の比較によりそれぞれの気候的特徴がブナ林の炭素収支にどの程度影響をおよぼすか評価を行い、研究を総括する。また、ブナとその競合関係にあるホオノキやミズナラの年間炭素固定量の比較も行う。
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Causes of Carryover |
次年度に行う調査項目が当初予定よりも多くなり、それに伴う謝金や消耗品も増加する見込みとなった。そのため、当該年度の購入物品を調整し次年度へ繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度繰り越した約20万円は、増加する見込みとなった謝金や消耗品費として次年度助成金とあわせて使用予定である。
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Research Products
(9 results)