2015 Fiscal Year Research-status Report
衛星データを用いた森林植生季節変化パラメーターの詳細解析に関する研究
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25450208
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
澤田 義人 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境計測研究センター, 特別研究員 (50595767)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 森林環境変動 / 植物季節情報 / 森林劣化 / 衛星LiDAR / 森林構造マップ / 時系列モデル / 高速演算処理 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では以下に挙げる二つについて研究および開発を実施することを目的としている。 ①環境変動にともなう季節変化パラメータ変動の解析手法開発およびシステム化 昨年度までデータ収集および解析を行ってきたメコン川流域に加え、今年度は森林開発が著しいボルネオ全域を対象としてMODISなどの高頻度観測衛星データの収集を行うとともに、研究代表者が開発した時系列モデル化手法による解析と森林季節変動パラメータの抽出を行った。西カリマンタンなどでは、森林からプランテーションへの転換した画素を明瞭に区別できることを確認した。これに加え、昨年度整備した衛星LiDAR ICESat/GLAS全球データセットから当該地域のデータを抽出し、高解像度の森林構造マップの作成を目的として解析を行っている。また、メコン川流域や中央アマゾンなどのMODISやCAIなどの高頻度観測衛星データを確認したところ、雲がない場合でもヘイズや水蒸気などの影響で地表面の状態が観測できない画素がしばしば現れる。これまで研究代表者が開発した方法では、可視バンドの地表面反射率データを時系列的に、連続値として取り扱うことができなかった。そこで今年度は、放射伝達モデル計算とこれまで研究代表者が開発した状態空間モデルを用いた時系列モデル化手法を融合させたアルゴリズムを開発した。放射伝達モデル計算は計算負荷が大きいため、機械学習法を用いた高速化の実装を行った。 ②環境変動現象の先行指標の抽出手法の開発およびシステム化 昨年度に引き続き、高頻度観測衛星の空間分解能(~500m)より分解能が高い森林構造マップの作成法の改良およびシステム化を行っている。現在、昨年度より広域スケール(約100キロ四方)での森林構造マップ作成法の開発をすすめており、この結果と森林植生季節変化パラメータとの関連についても解析を実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全体の状況であるが、昨年度は健康上の理由から課題に従事する時間のねん出が困難であったことおよび研究補助者に適任者を見つけられなかったため、進捗状況はやや遅れている。森林劣化などを精密に検知する目的での森林構造マップ作成手法の開発は新たに付け加えた内容であるが、これについては順調に進捗している。一方、学会等の研究集会での成果報告等が健康上の理由により宿泊を伴う遠方への学会等参加が困難な状況が続いていることと、成果を投稿論文としてまとめる作業で進捗に遅れが生じている。 ①環境変動にともなう季節変化パラメータ変動の解析手法開発およびシステム化 森林劣化検知を目的とした広域森林構造マップ作成手法の開発は一昨年度までのメコン川流域に加え、現在はボルネオ島全体のデータ処理および解析までほぼ順調に進んでいる。連続値での時系列モデル手法のGPGPU実装については結果を確認するための試験が長引いており、システム整備に関しては遅れが生じている。 ②環境変動現象の先行指標の抽出手法の開発およびシステム化 引き続き実施している森林開発にともなう環境変動の先行指標抽出のための指標作成には、事例を増やす必要があり、森林劣化も対象に加えて解析を行っているため、進捗に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
全体: これまでに得られた成果を基にして、森林環境変動の起こった可能性が高い画素の抽出方法について検討および考察を加えて実際に全自動処理およびデータ配信を可能にするシステムの構築を進める。また、研究成果の公表や論文化も今年度は重点的に進める予定である。さらに、時系列処理手法の講習会や植物季節プロダクト等の利用に関する研究集会などを開催することでユーザーおよび利用の拡大を図る。 ①環境変動にともなう季節変化パラメータ変動の解析手法開発およびシステム化 森林劣化や小規模な森林減少について、三次元的かつ面的な森林構造情報と森林季節変化パラメータとの関連を解析し、高頻度観測衛星データの時系列モデル化によって森林構造の変動を自動的に検知可能な手法の開発を引き続き進める。 ②環境変動現象の先行指標の抽出手法の開発およびシステム化 高速処理のためのGPGPU化については引き続き開発および実装を行い、システム化を進める。また、本研究課題で開発される手法や植物季節プロダクトの自動生成と配信を行うシステムについては引き続き構築および運用試験を実施する。
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Causes of Carryover |
理由は以下のとおり: 1)健康上の理由により宿泊を伴う遠方への出張が非常に困難であるため未使用旅費の発生 2)研究補助の適任者が見つからないため人件費(雇用経費)が未使用 3) 当該年度に予定していた論文投稿を次年度としたための関連経費の未使用
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
旅費等については遠距離とならない地域で開催される学会等の研究集会に参加することを計画中である。出張や招聘などによって関連研究者との個別打ち合わせなどの機会を設けて研究交流および議論などを進める。研究補助者については引き続き人選をすすめる。論文投稿等については次年度に今年度実施する分を含めて行うことを計画している。
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Research Products
(4 results)