2014 Fiscal Year Research-status Report
旧東欧3カ国における森林資源および環境保全政策の変遷と国際比較
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25450212
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
大田 伊久雄 愛媛大学, 農学部, 教授 (00252495)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 森林法 / ポーランド / トルコ / ルーマニア |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は研究期間の2年目であり、当初計画ではルーマニアでの調査をする予定であったが、調査受け入れ先の事情によりこれを3年目に行うこととした。そこで、当初3年目に調査を行う予定であったウクライナでの調査を計画したが、政情不安のため渡航が制限されていたため、同国と同様に大きな国土面積と人口を持ちEUへの加盟を目指すという共通点を持つトルコ共和国での調査を行うことに急遽切り替えた。 トルコへの現地調査は7月12日から28日までの日程で行った。現地で調査の受け入れをしていただいたイスタンブール大学森林学部のアヤノーグル教授と共にイスタンブールおよびその周辺地域ならびにイズミット地域において、国有林の地方局や営林署、育林研究所などを訪問し、数多くの研究者ならびに森林官・行政官に聞き取り調査を行った。さらに、トラブゾン地域ではカラデニス大学森林学部のベイラモーグル博士らと面会し、複数の営林署や森林管理の現場を見学した。 同国の森林については、乾燥地帯が多いため森林率が低く火災による被害が多いという特徴がある。また、ほぼすべての森林が国有林となっており、国有林を管理する政府組織OGMは非常に統制がとれているという印象を持った。ただ、森林周辺に暮らす住民の違法な森林占拠や伐採行為は同国の森林管理にとって長年の問題であり、こうした状況は近年減少傾向にあるとはいえ森林の保護増進と住民の利用との相克は解決が難しい問題である。また、同国の森林率は10%台であるが、それとほぼ同じ面積の疎林と呼ばれる地域があり、そうした場所への植林活動を積極的に行うことで森林面積の拡大がみられており、今後は経済発展に伴って森林環境の整備が進むことも期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、3年間で3カ国の調査を行う予定であるが、対象国の変更はあったもののこれまでの2年間で2カ国の調査が完了した。それぞれの対象国では、日程の制約から計画通りの十分な調査が行えたとは必ずしもいえない部分もあるが、ほぼ順調に研究は進展している。最終年度は追加調査も含めて行う予定であり、当初予定の成果は期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
3年目には3カ国目となるルーマニアでの現地調査を行う。さらに、トルコにおける追加調査も考えている。本研究の対象国は3カ国とも全森林面積に占める国有林の比率が高く、国有林における森林管理が調査の中心となっているが、私有林その他の所有形態の森林についても補足的に情報の収集を図り、より鳥瞰的に対象国の森林管理と環境保護との関係性を掘り下げて分析していきたい。
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Causes of Carryover |
今年度は当初計画とは異なる調査国において調査を行ったため、準備時間も短く、また調査にかける日程も若干少なくなったために予算を少し残す結果となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度にはトルコへの補足調査も含めてルーマニアへの渡航を予定しており、繰り越した金額の使用には問題はない。
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Research Products
(4 results)