2014 Fiscal Year Research-status Report
中山間地域の経済・エネルギー自立のための未利用木質資源循環利用システムの構築
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25450214
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
鈴木 保志 高知大学, 自然科学系, 准教授 (20216451)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 木質バイオマス / 中山間地域 / エネルギー / 未利用木質資源 / 循環利用 |
Outline of Annual Research Achievements |
バイオマス燃料2形態、チップとペレットに薪形態も加えての燃焼施設経費分析を行なった。また、高知県内の地域的な木質バイオマス利用動向をまとめた。さらに、国内の木質バイオマス利用事例について主に小規模利用を中心に事例調査を実施して木質バイオマス燃料の地域利用方式について類型化を行なった。 自然乾燥実験については、一昨年度から2年間実施した林内における葉枯らし乾燥では本研究に適用可能な有用な結果は得られなかった。しかし、薪利用を想定した分割材を供試材として、開放面別の乾燥速度を計測する実験を新たに開始したところ、自然乾燥速度の一般的な理論式を構築する基礎となりうる見込みがある結果が得られている。この自然乾燥実験については継続中である。 また、他に新規に行なった調査としては、枝葉形状残材を利用する場合のかさ密度についてトラックの箱型荷台を用いた実地試験がある。その結果、丸太形状残材との混載方式で充填率を高めることができるという知見を得た。 最終目的である、地域的な利用システムのモデルを構築と代替案間の優位性比較を実施するための費用計算モデルの基礎として、林内作業車等を利用した小規模収集システムの既往データを整理して生産性概算の目安を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
薪ストーブによる燃焼実験については、今年度は十分に実験を実施できなかった。代替案比較におけるライフサイクルアセスメント(LCA)実施のために必要なLCAソフトは予定通り購入したが、試算までは行なえていない。 一方、自然乾燥実験については新たな見地から実験を開始して、良好な見込みを得ている。また、小規模分散型木質バイオマスの地域利用システムについて、国内の事例をもとに類型化・定式化を行なうことができた。さらに、実際の薪ボイラ施設での聞き取りから、実務レベルでは化石燃料ボイラも一定数併用が必要であることが明らかになった。 このように、予定通りに進展しなかった実施項目もあるが、計画に従って実施して得られた成果に加えて、新たな試みによる予定外の成果もあることから、「おおむね順調に進展している」と評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
【自然乾燥実験・燃焼実験】自然乾燥実験については、分割材の自然乾燥実験を継続し、日分割材にも適用可能な乾燥速度の理論式を構築する。薪ストーブ燃焼実験については、今年度の秋冬に必要なデータを補完するための実験を実施する。 【収集・加工・配送工程の経費とエネルギー】収集工程に関しては、小規模残材収集システムの生産性についてより詳しく検討し、必要に応じて現地調査も実施する。これまでに得た薪に関する実験・調査および関連データを総合して、収集・加工・自然乾燥・配送・燃焼までの一連の工程を通した経費分析を実施する。エネルギー分析については、LCA分析ソフトと既往データをもとに、まずは自然乾燥と加工工程について試算を行なって分析モデルの調製をし、収集・加工・自然乾燥・配送・燃焼までの一連の工程に拡張した分析モデルを作成する。 【発生熱量あたり経費およびエネルギー効率と想定する供給体制毎の比較】作成した、経費とエネルギーの分析モデルを用いて、収集から燃焼までの一連の工程を通した経費と消費エネルギーの試算を行なう。収集と配送については中間集積地を設けるか否か・設けるとしたら原料の発生地と供給場所との位置関係でどの場所にするか・いくつ設けるか、といった選択肢がある。それらおよび自然乾燥方法も条件に加えていくつかの供給体制を想定し、経費と消費エネルギーを木質燃料3形態について算出する。石油等価エネルギーから算出した最終消費場所での代替価格を目標経費とし、この目標経費と地域資源からの循環利用可能量を制限条件、雇用可能人数と石油代替量を最大化条件として、木質燃料3形態と生産方式(2方式を予定)のベストミックスを検討する。結果を考察し、雇用可能人数と石油代替量を評価値として、燃料形態および作業方式別に有利な供給体制の条件を明らかにする。 研究成果をまとめ、学会や研究集会等で発表し、学術誌に投稿する。
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Causes of Carryover |
薪の加工に関する生産性の調査は前年度に前倒しで実施し、今年度は実施の必要性がなかった。このため、調査旅費と人件費に余剰が生じたので一部は成果発表等に回すようにしたが、最終的に現状分の次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費については継続する実験や調査における、温湿度センサなどの消耗品に用いる。旅費については、主に成果発表で使用する。人件費と謝金については、調査等の補助謝金と英文校閲謝金等で使用する。その他は、LCAソフト維持費など計算機関係と投稿費用などで使用する。
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Research Products
(6 results)