2014 Fiscal Year Research-status Report
安全性の高い界面活性剤を用いたスギ花粉形成抑制技術の確立
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25450219
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
小塩 海平 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (50318177)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平塚 理恵 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (30246376)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | スギ花粉症 / 花粉飛散防止 / 界面活性剤 / ソルビタントリオレート / プログラム細胞死 |
Outline of Annual Research Achievements |
ソルビタントリオレートの効果が出やすい「新治2号」と効果が出にくい「くもとおし」および「沼田12号」で、雄花の形成が確認されてから定期的に効果の確認を行ったが、クローン間の差異よりも、ジベレリン処理の有無の方がソルビタントリオレートの効果に寄与する割合が高い可能性が示され、最終年度に、TEMによる観察で確認することとした。「くもとおし」および「沼田12号」ではジベレリン処理の有無にかかわらず、雄花の表皮に電子密度が高くソルビタントリオレートに対する被浸透性の低い層が形成されるが、無処理でソルビタントリオレートの効果が顕著な「新治2号」でもジベレリン処理によってソルビタントリオレートに対する被浸透性の低い層が形成される可能性が示唆された。最終年度において、ジベレリン処理による雄花の構造的変化、クローン間差異とプログラム細胞死の進行について、詳しい検討を行う予定である。なお、雄花のワックス量は、ソルビタントリオレートの効果と相関が低いことが明らかとなった。 ジベレリン処理によって雄花を誘導したスギ苗にソルビタントリオレートを処理し、花粉形成を阻害することにより、スギ苗の成長促進効果が見られるか否かを観察しているが、ソルビタントリオレート処理によって球果の形成が抑制されることがわかり、スギ苗の成長促進に結びつくのではないかと推察される結果が得られた。スギの球果はカメムシなどの害虫の温床ともなるため、ソルビタントリオレートによる球果抑制効果は、実用性が高いと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ソルビタントリオレートの処理効果が高く、対照区として採用していた「新治2号」でジベレリン処理を行うと雄花褐変処理効果が低下することが判明し、そのメカニズムを新たに考察する必要が生じたため。やや計画に遅れを生じたが、新たな発見に結びつく可能性もある。
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Strategy for Future Research Activity |
「新治2号」、「くもとおし」、「沼田12号」に関して、6月にジベレリン処理を行う処理区と行わない対照区を設け、9月にソルビタントリオレートを処理して雄花の褐変効果を観察し、それと連動するプログラム細胞死の様子をTEMで観察する。また、ソルビタントリオレート処理による雄花褐変効果、球果抑制効果、材の肥大及び伸長効果を測定する。その後、成果を纏め、論文として投稿する。
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Causes of Carryover |
ジベレリン処理をした「新治2号」でソルビタントリオレート処理による雄花褐変効果が見られなかったため、プログラム細胞死に関わる実験を行うことが出来なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ジベレリン処理をする処理区とジベレリン処理をしない対照区を設け、効果の差異を確認し、当初予定していたプログラム細胞死の実験を行う。
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