2013 Fiscal Year Research-status Report
近赤外スペクトルを用いた枯死木分解者判定手法の開発
Project/Area Number |
25450227
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
酒井 佳美 独立行政法人森林総合研究所, 立地環境研究領域, 主任研究員 (40353700)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大村 和香子 独立行政法人森林総合研究所, 木材改質研究領域, 主任研究員 (00343806)
鵜川 信 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (30582738)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 枯死木 / 分解 / 木材腐朽菌 / シロアリ / NIR / リグニン |
Research Abstract |
気候の違いから枯死木分解者の種類と優占度が地域により異なると考えられる。本研究では北海道、九州(鹿児島県)、関東(茨城県)が各々木材腐朽菌類優占型、シロアリ優占型、木材腐朽菌・シロアリ混合型であると想定して各地域に試験地を設定し、スギとヒノキの円板試料(厚さ2.5cm、直径30cm)の分解試験を開始した。試験開始後6か月には、関東の試料には目視にて木材腐朽菌による材の変質とシロアリによる摂食が認められた試料があったが、北海道と九州の試料は関東の試料に比べて、腐朽菌やシロアリによる摂食が生じた試料は少なかった。一方、試料の材密度は初期重量の0.7~3.4%程度の減少に留まっており、樹種および地域間差は非常に小さかった。また、スギおよびヒノキの小試験体を用いて白色腐朽菌と褐色腐朽菌による室内分解試験も開始した。 また、地域によって分解者の種類と優占度が異なるとすれば、それが枯死木の近赤外(NIR)スペクトルにも反映されるのではないかと考え、6県(秋田・千葉・茨城・富山・山口・大分)で採取した分解程度の異なるスギの倒木からNIRスペクトルを取得し、主成分分析(PCA)解析を用いて地域間差を比較した。6県全てのデータを使用した場合、地域間分離はできなかった。そこで、最も気温差が大きい秋田と大分のPCA解析を行ったところ地域間分離ができ、この2地点での分解残渣の化学的性質に違いがある可能性が示された。さらに、地域間差を生じさせたPC1の特徴を示すピーク位置をみるとリグニンやホロセルロース由来と考えられるものが多かった。つまり、この2つの地域間では異なる分解過程によって化学成分特性に差が生じている可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画であった、材の分解試験の野外実験の設置と設置後半年の試験材の回収、および室内実験による材片の分解試験を実施できた。回収した試験材の試料調整とNIRスペクトルの取得の作業は順調に進んでいる。得られたNIRスペクトルはデータベース化し、一部のデータについては、地域間差を比較するための解析を進めることができた。以上のことから、おおむね順調に進展していると判定した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後も研究計画に従って研究を推進する予定である。ただし、研究代表者の所属先が変わるため、次年度には現状と同等の研究環境にするための物品購入費と試験地への旅費が当初の予定よりも多く必要になることが予想される。そこで、今年度は研究費の繰越しをおこなった。研究費の使用計画の変更点としては、繰越した研究費を物品費と旅費として充当させる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究代表者の所属先の所在地がつくば市から熊本市に変わることになり、当初の計画よりも予算が多く必要と予想されるため、今年度の支出を抑制して繰り越すことにした。 現状と同等の研究環境の確保のために実験器具等の物品購入費と、旅費に充当する。
|
Research Products
(3 results)