2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25450231
|
Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
岡本 隆 独立行政法人森林総合研究所, 東北支所, チーム長 (30353626)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 地すべり / 地震動 / 観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
地震時の地すべり発生メカニズムを解明するための重要なパラメータとして、誘因となる地震動の性質(強さ)が挙げられる。地形・地質的に特殊な地すべり地に到達する地震動の性質は、平野部で観測される一般的な地震動と異なると予想される。しかし、地すべり地での地震観測例が少ないために、多くの研究では、平野部の観測地震動を便宜的に適用してきた。本研究はこの問題を解決するため、未知であった地すべり地に到達する地震動の性質を観測・解析の両面から明らかにすることを目的とする。 本研究は2011年長野県北部地震の余震が想定される新潟県上越市の伏野地すべり地において地震観測を実施している。2014年には周囲で発生した気象庁マグニチュードM3.0およびM6.7の地震により現地で2回の地震動を観測した。観測された地震動を地すべり地の内部(移動域)と外部(不動域)での振動特性に着目して差異を解析、考察した。 地震波形から得られる最大加速度および最大速度は2回の地震動ともに移動域で大きくなり、地すべり地では地震動が相対的に強くなることが明らかとなった。地震動波形をフーリエ変換して得られる周波数分布は、外部では地震動が1Hz前後で減衰するが、内部では強さが減衰せずに残った。1Hz前後での揺れの違いは、地すべり地の内部と外部の地質特性の差に起因すると考えられ、移動域の軟弱地盤が1Hz前後の周波数帯の揺れを増幅させた、もしくは減衰させなかったことが地震動の増大に結びついたと考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究が開始された平成25年度より、現地において2度の有感地震を観測しており、研究目的は順調に進展している。今後も観測を継続することで、さらに多くの地震動観測を期待できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
観測により、地すべり地の移動域と不動域間で地震動特性に差異があることが判明した。差異が生じた要因を明らかにするため、観測点でボーリング調査を実施して地質特性を明らかにする。
|
Causes of Carryover |
学会誌の印刷代及び別刷り代が想定より安価であったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
地震計の維持管理に係る経費として使用する。
|
Research Products
(3 results)