2013 Fiscal Year Research-status Report
害虫ヤノナミガタチビタマムシの環境を利用した被害軽減
Project/Area Number |
25450232
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamanashi Forest Research Institute |
Principal Investigator |
大澤 正嗣 山梨県森林総合研究所, その他部局等, その他 (80359249)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生活史 / 個体数変動 / 気象の影響 / 産卵数 |
Research Abstract |
本年は、ヤノナミガタチビタマムシについて、発生個体数と環境要因の関係を明らかにすること及び本虫の生態を詳細に解明することを目的に、以下の調査を行った。 被害林内にトラップを仕掛けて、本害虫を捕獲し、発生頭数をカウントした。今回のデータをこれまでの予備調査データと合わせ、降水量、気温と発生頭数の関係を解析した。その結果、7月と8月の降水量が少ない程、また7月の気温が高い程、本害虫の発生数が多い結果となった。降水量の少ない夏は、気温も高くなる傾向があるため、今後、本害虫多発の原因は、降水量なのか気温なのかを検討する必要がある。 降水量と発生個体数の関係調査の一環として、早期落葉したケヤキ葉を持ち帰り、乾燥状態と多湿状態に置き、羽化してくる成虫数を比較した。その結果、今回の調査では、乾燥区と多湿区で羽化してくる成虫数に有意差は認められなかった。今回は早期落葉直後の葉を使用しなかったため差がなかった可能性があり、次回は早期落葉直後の葉を用い同様の試験を行う予定。 次に、本害虫の生態をより詳細に明らかにするため、5月はじめ、ヤノナミガタチビタマムシの産卵開始前に、交尾をしている雌雄ペアを12組捕獲し、それを人工環境下で飼育し、産卵数をカウントした。産卵しなかったペアを除き、雌1頭当たり、13~40個、平均で24個産卵した。野外調査で、越冬世代から次世代への増加率は、これより明らかに高く、今後、産卵調査を更によい条件下で飼育し、産卵数を再度調査する予定である。 また、野外のケヤキの葉上に産卵されたばかりの本害虫卵をマークし、それを継続的に観察し、産卵から成虫羽化までの期間を調査した。その結果、産卵から孵化までは平均14日、産卵から落葉までは37日、産卵から成虫羽化までは、49日間であった。卵の多くが乾燥もしくは物理的な要因で葉から剥がれ孵化できず、卵の死亡率が高かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、おおよそ当初の予定通り進行した。予定通り進まなかった部分もあるが、一部、当初予定していなかった研究にも着手でき、それなりの成果を得ることができた。このため"(2)おおむね順調に進展している"と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年も、ヤノナミガタチビタマムシ被害林にトラップを仕掛け、本害虫の発生量を調査し、気象と本害虫発生の関係を継続調査する。また、乾燥区と多湿区に早期落葉直後の葉を置き、湿度が成虫の発生に与える影響を再調査する。そして、早期落葉が本害虫に与える影響について考察する。ケヤキの枝の状態についても本害虫の死亡率に影響があるか否かを調査する。 生活史の解明については、よりよい条件下で、本害虫雌雄ペアを飼育し、産卵数の調査を行う。また、ケヤキの早期落葉が本害虫に与える影響について調査する。早期落葉を持ち帰り、終齢幼虫から蛹にかけての死亡率と天敵について調査する。越冬期については、越冬場所と死亡率、天敵の関係を調査する。
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Research Products
(1 results)