2013 Fiscal Year Research-status Report
カルシウムシリケート処理を施したセルロースナノファイバー複合材料の開発と性能評価
Project/Area Number |
25450239
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
小島 陽一 静岡大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (80377796)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 滋彦 静岡大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40115449)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | セルロースナノファイバー / カルシウムシリケート / 木質材料 / 粉砕 / 表面改質 |
Research Abstract |
現在、セルロースナノファイバー(CNF)およびそれを利用した複合材料の研究が注目されている。しかしながらCNF作成及び複合化工程において課題は多い。CNFは精製時に含水させ粉砕する(湿式粉砕)ため、プラスチックとの複合材料を作製する際に乾燥を必要とする使い道が多い。しかし通常の場合、含水したCNFを乾燥させるとCNF間の水分が蒸発し、凝集が発生する。この凝集が起こることにより、複合材料化した場合に物性に大きな悪影響を及ぼすという問題が生じる。 以上を背景として、CNF表面を改質することで乾燥時やプラスチックとの混合時に生じる凝集を軽減させることを目的に。含水時のCNF表面にケイ酸系無機水和物を形成させる処理手法を実証した。 本研究ではセルロース粉末の湿式ボールミル粉砕によりCNFを調整した。CNF化前にケイ酸カルシウム水和物原料を予め添加したもの、CNF化後に添加したもの、の2通りで実験を行った。その後、水熱処理を温度175℃にて0、3、6、18時間行い、処理後に内容物を取り出し、凍結乾燥あるいは60℃恒温乾燥を行った。その後、エックス線回折測定、電子顕微鏡観察、粒度分布測定を行い、評価を行った。 結果として、ケイ酸カルシウム水和物原料を前添加した場合に、粉砕時にセルロース表面-シリカ成分間の水素結合等の二次的な結合、あるいは粉砕時の衝撃によりセルロース繊維間に入り込む物理的な混合が生じることで表面にシリカが介在するCNFが形成されることがわかった。このCNF表面に介在する知りかとカルシウムが水熱処理により反応しCNF表面にケイ酸カルシウムが形成したと考えられる。すなわち、CNFを核としてケイ酸カルシウム水和物が形成されていることからCNFが核剤の役割を果たし結晶成長を促進させた可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的は「CNF表面にケイ酸系無機水和物を有したCNFを作成すること」であるが、現段階でそれを達成することができている。 ただ評価方法として、現在はエックス線回折、粒度分布、電子顕微鏡観察を行っているが、今後はFT-IR等も活用しながらより詳細な分析をすべきであると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
CNF表面へのケイ酸系無機水和物の形成についてより詳細な検討を行うことが必要となる。具体的には、シリカとカルシウムの比率および水熱処理条件を様々な値で変化させていくことが必要となる。水熱処理には耐圧管を利用し、原料の比率から既存のケイ酸カルシウム実験の相図をもとに配合実験と水熱条件検証を実施する。同様に、CNF上に形成するケイ酸系無機水和物量をコントロールできる因子を明らかにする。 また得られたCNFを凍結乾燥し、それを充填材としたプラスチック複合材料を作成し、それらの物性試験を行うことで、CNF/ケイ酸系無機水和物による物性への影響について見当することが今後の重要な課題となる。具体的には、複合材料の強度(曲げ、引張)特性、耐水性、耐熱性の検討を行う。
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Research Products
(2 results)