2014 Fiscal Year Research-status Report
木育活動の効果の検証と全国展開を目指した教材とシステムの開発
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25450244
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
田口 浩継 熊本大学, 教育学部, 教授 (50274676)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 木育 / 森林環境教育 / ものづくり教育 / カリキュラム開発 / 教材・教具の開発 / 持続可能な社会 / 学校教育 / 社会教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、地球温暖化や天然資源の枯渇が社会問題となる中、森林が地球環境を保全し、持続が可能な資源の一つとして注目されている。林野庁では、2007年に「子供から大人までの木材に対する親しみや木の文化への理解を深めるため、多様な関係者が連携・協力しながら、材料としての木材の良さやその利用の意義等を学ぶ、木材利用に関する教育活動」を「木育」とし推進している。 研究代表らは、これまでに子どもを対象とした木を素材にしたものづくり教室(子どもの木育)、それらを指導するスタッフの養成講座(大人の木育)、現職教員や教育学部生を対象とした講座(教員・学生の木育)を長年実施してきた。本研究では、それらの拡大・充実とともに、各対象者に対して意識と行動変容など木育の効果について検証を行う。 研究の2年目は、木育に関する先行研究や、現在実施されている木育活動の事例について継続し調査を行った。また、幼児教育や小学校低学年(生活科)での木育について調査・分析を行った。木育を推進する養成講座についても、これまでの講座内容をブラッシュアップするとともに、新たな講座(小学校髙学年・中学生を対象とした講座:木育ジュニア推進員養成講座)を立ち上げ、木育カリキュラムを開発した。平成26年度は、熊本県・佐賀県で10回開催した。それらの講座で使用する教材及び指導用資料を開発するとともに、受講者に提供した。 さらに、学校教育においては、小・中学校に木育を根付かせるための教材・カリキュラム等の開発・改善を行った。特に、副読本は熊本県版をもとに、全国版の開発を行った。子ども達に、木育やものづくりの場を提供するものづくりフェア等についても、熊本県・佐賀県で14回開催した。これらの開発・実践についての効果の検証も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.現在実施されている木育に関する先行研究・実践の分析と整理:平成26年度林野庁委託として木育推進に取り組む電通及び東京おもちゃ美術館、電通、各都道府県の林務行政機関、民間企業が発行する啓発用資料、テキストの収集を行った。さらに、世界的に実施されるようになった「World Wood Day」について調査した。 2.木育講座カリキュラムの開発:平成24年度までに樹木を中心とした初級編、森林を中心とした中級編の木育講座を行うとともに、関連するテキスト、教材・教具の開発を行った。平成25年度は、さらに上級編として木育活動で使用する教材・教具の製作や教授法を学ぶ木育講座を開講した。それらに追加し、小学校髙学年・中学生を対象とした「木育ジュニア推進員養成講座」を開講した。初年度は18名の修了生を出した。同時に、関連するテキスト、教材・教具等も開発した。これらに関するデジタルコンテンツは、受講者全員に配布した。 3.子どもを対象とした木育活動の効果の調査:平成26年度は、「くまもとものづくりフェア」を始め、述べ12回の木育活動を実施した。これらの活動に参加する幼児・児童及びそれらの保護者に対して、参加の目的、参加状況等の調査を行い、ニースの把握を行った。小学校で実施した木育については、指導者からの調査も行った。 4.大人を対象とした木育講座の効果の調査:平成26年度は、一般市民を対象に熊本県、佐賀県において、述べ10回の木育推進員養成講座を開設した。この6年間で32回実施し、述べ1300名の修了生を輩出したこととなる。木育講座の参加者に対して、調査を行い、受講動機、受講しての成果、今後の活動への意欲についてその傾向を把握した。また、教育学部の「生活科」の講義や、教員免許更新講習、社会指導主事養成講座の中で、木育に関連した講義・研修を実施し、その効果を調査した。学生については、経年変化を調査することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1.先行研究・先行事例の調査:木育講座の修了生が、県内外で独自の木育活動を展開する状況が生まれてきた。それらについても、実態調査やなぜそのような活動が実施できるようになったか等の要因についても分析し、これからの普及活動の参考にする。また、世界的に実施されるようになった「World Wood Day」について詳細に調査を行う。 2.木育講座カリキュラムの開発:成人を対象とした木育講座は、初級(樹木編)・中級(森林編)・上級(教授編)と予定の講座が揃ったので、もう一度、それぞれの講座の系統性や棲み分けを行いたい。さらに、小学校髙学年・中学生を対象とした、木育のリーダー育成講座(木育ジュニア推進員養成講座)の充実を図る。 3.子どもを対象とした木育活動の効果の調査:昨年度同様にものづくりフェア等を開催し、参加者の実態や木や森に対するイメージの変容なども調査する。 4.大人を対象とした木育講座の効果の調査:教育学部で実施している木育について、1年次と4年次で同様の調査を行い、木育に関する学習の定着度やイメージの変化を引き続き調査する。一般市民についても、同様の調査を行う。 5.韓国における木育の調査:韓国のイベントに参加すると共に、詳細な調査を行う。
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Causes of Carryover |
申請時には、大型の工作機械を購入する予定であったが、交付金が若干減額されたために大型機械の購入は見送り、平成26年度は小型の機械の導入を行った。また、学会の開催地が地元で実施されたため、旅費についても予算があまる結果となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は、木工用の機器を購入予定である。また、物品費・旅費についても計画的に使用し、有効な活用を心がけたい。
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Remarks |
研究代表者が取り組んだ、木育講座やものづくりフェアについて、いろいろなページで紹介されている。
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Research Products
(19 results)